2025-08-29 コメント投稿する ▼
生活保護費減額違法 原告ら「国は政治判断で被害回復を」厚労省専門委員会で議論
生活保護費減額違法判決を受けた国への要請
生活保護基準の大幅引き下げを違法と認定した最高裁判決を受け、厚生労働省の専門委員会が29日に第2回会合を開いた。これにあわせ、大阪・愛知の原告と弁護団は東京都内で記者会見を開き、国に対して「政治判断による被害回復」を求めた。
会場には東京や神奈川の原告や支援者も集まり、満席となった。大阪原告の新垣敏夫さんは「落ち着いて話せた。国に言いたいことを言えた」と発言すると、大きな拍手が起こった。愛知原告の澤村彰さんは「明日も命があるか分からない。保護費減額の差額分を全額すぐに払ってほしい」と強い口調で訴えた。
「国は法律論ではなく政治判断をすべきだ」
「追加支給を否定できないという意見が出たのは希望だ」
「命の問題に時間をかけすぎている」
「朝日訴訟のときのように政治的決断を」
「今も苦しんでいる人にすぐ支援を届けてほしい」
SNS上にも、判決を受けた迅速な対応を求める声が多数投稿されている。
専門委員会での議論と論点
今回の厚労省専門委員会は、行政法の専門家を中心に意見交換が行われた。委員からは「減額された保護費の追加支給を否定できない」という見解が相次ぎ、国の対応次第では被害者救済につながる可能性が示された。ただし、制度設計や財政負担への懸念もあり、結論には至っていない。
最高裁は明確に「国の対応が違法だった」と判断しており、これをどう政策に反映させるかが問われている。
弁護団が強調する「政治判断」
弁護団の尾藤廣喜弁護士は会見で「最高裁判決は政治的な判断と対応を求めている」と指摘した。さらに1957年の「朝日訴訟」に触れ、当時、国は原告勝訴の一審判決前に保護費の増額を政治的に決断した事例を紹介。「国は同じように政治判断で救済を行うべきだ」と訴えた。
この主張は、法解釈に委ねるのではなく、現実に苦しむ生活保護受給者に迅速に救済を届ける必要性を強調したものだ。
国に求められる責任と今後の行方
今回の最高裁判決は、生活保護基準の引き下げが違法であると明示した点で画期的である。にもかかわらず、被害回復に向けた明確な政治判断は示されていない。原告や支援者の「今すぐ救済を」という声と、委員会での専門的議論の間には温度差がある。
厚労省が被害回復をどのような形で実現するのか。追加支給や免除措置の再開など、具体策に踏み込めるかどうかが焦点だ。判決を空文化させないためにも、国の政治的責任が問われている。