2025-08-30 コメント投稿する ▼
訪問看護の不正請求にメス 厚労省、中医協で制度見直し議論開始
背景には、一部事業者による不正・過剰請求の多発があり、制度の信頼性が揺らいでいる現状がある。 さらに夜間・早朝、深夜の訪問で加算報酬を得るケースが急増しており、不自然な利用実態が浮き彫りになっている。 訪問看護は在宅医療を支える柱であり、医師や看護師の不足が深刻化する中で重要性を増してきた。
訪問看護の見直し議論が本格化
厚生労働省の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)は、来年度の診療報酬改定に向けて訪問看護の在り方をめぐる議論を開始した。背景には、一部事業者による不正・過剰請求の多発があり、制度の信頼性が揺らいでいる現状がある。特にホスピス型有料老人ホームの入居者や精神障害者を対象にしたケースで不正が指摘されており、今後の改定内容は介護・医療現場に大きな影響を与える見通しだ。
厚労省が27日に提示したデータによると、多額の報酬を請求する訪問看護ステーションほど拠点数の増加率が高い傾向が見られた。さらに夜間・早朝、深夜の訪問で加算報酬を得るケースが急増しており、不自然な利用実態が浮き彫りになっている。
「必要な人にサービスが届かない一方で、一部業者が儲けに走っている」
「夜間訪問を口実に不正をする事業者がいるのでは」
「高齢者や家族の立場を無視した制度悪用は許せない」
「監査を徹底して真面目な事業者を守ってほしい」
「報酬削減だけでなく、現場の人材確保策も同時に必要だ」
不正請求の実態と制度の歪み
訪問看護は在宅医療を支える柱であり、医師や看護師の不足が深刻化する中で重要性を増してきた。しかし一部の事業者が報酬加算制度を悪用し、実態の伴わない訪問を繰り返したり、架空請求を行ったりする事例が相次いでいる。特に夜間や深夜の訪問加算は報酬単価が高いため、制度の抜け穴として狙われやすい。
また、複数拠点を短期間で展開する事業者が急増しており、経営効率を優先するあまり患者の生活や医療の質が軽視される懸念もある。こうした状況に対し、厚労省は報酬体系の見直しにより過剰請求を抑止すると同時に、訪問看護の本来の役割を取り戻す狙いだ。
求められるバランスある制度設計
一方で、訪問看護は高齢化が進む日本において必要不可欠なサービスであり、過度な規制や報酬削減は現場を疲弊させかねない。真面目に運営している多くの事業者にとって、不正事例に引きずられて報酬が一律に下げられることは大きな負担となる。制度改革には、監査や罰則の強化と同時に、現場で働く人材の待遇改善や人材育成への支援も求められる。
また、在宅医療の需要が急増する中、訪問看護師の確保や育成は避けて通れない課題だ。人材不足の中で制度が複雑化すれば、かえってサービスの質が低下しかねない。報酬体系の適正化とともに、医療と介護をつなぐ仕組みの改善も不可欠となっている。
訪問看護制度見直しと国民生活への影響
今回の議論は、単に不正防止にとどまらず、在宅医療全体の将来像を左右する重要な局面となる。制度の信頼性を回復しつつ、必要な患者にサービスを安定的に提供できる体制を構築できるかどうかは、日本の医療・介護政策の成否に直結する。国民にとっては、自宅で安心して療養生活を送れるかどうかに関わる重大な問題であり、厚労省と中医協の判断が注目される。