2025-08-07 コメント投稿する ▼
千葉市職員の7割が「心理的圧力」 政党機関紙勧誘に神谷俊一市長が是正要請
千葉市職員の7割が「心理的圧力」 市議による政党機関紙勧誘の実態に神谷市長が懸念
再調査でも浮き彫りに 職員の7割が「断れない」構造
千葉市が2025年3月に実施した市職員への政党機関紙購読勧誘に関する実態調査で、勧誘を受けた105人のうち7割に当たる73人が「心理的圧力を感じた」と回答した。7日の定例記者会見で神谷俊一市長は「非常に重く受け止めている」と述べ、市議会に対し是正を求める文書を提出したことを明らかにした。
調査は2020年(令和2年)に続き2回目。庁舎の建て替えを機に、職場環境が変わった現在の状況を把握し改善に生かす目的で行われた。神谷市長は「前回と比較して勧誘件数自体は減少しているが、心理的な圧力を感じた職員の割合は変わっていないことに強い問題意識を持っている」と語った。
職員からは「市議に面と向かって断るのは難しい」「公務員としての立場を考えると、波風立てたくなかった」といった声が寄せられており、実質的に“断れない勧誘”が続いていることが示された。
ネット上でも怒りや疑問の声が噴出している。
「こんなの任意じゃない、強制と変わらない」
「政治的中立が大前提の職場で何してんの?」
「断ったら昇進に響くって思わせた時点でアウト」
「まるで押し売り。やってることは悪質な営業と同じ」
「税金で働く職員を特定政党の購読者に仕立てるな」
これらの投稿は、勧誘の実態が市民感覚とかけ離れていることを如実に物語っている。
目立つ「しんぶん赤旗」の勧誘 議員の倫理観が問われる
関係者によると、勧誘の中心にあるのは共産党の機関紙「しんぶん赤旗」だという。特定の政党機関紙を職務上の立場を利用して職員に勧め、庁舎内で集金まで行う行為が続いているとされる。
政党の広報紙であっても、購読するか否かはあくまで個人の自由意思で決めるべきものであり、職場の上下関係を利用した勧誘は、明確なハラスメントと見なされかねない。
神谷市長は「勤務時間中の勧誘や集金があったという回答も一定数見られた。職員が安心して業務に専念できる環境を整える責任が行政にはある」と強調。市議会に対し「公務員の中立性が侵されることがないよう十分な配慮を」と求めた。
今回のような政党による組織的購読勧誘は、全国の自治体でもかねてより問題視されてきたが、内部からの異議申し立てが困難な構造になっており、表面化しにくい実態がある。
制度と慣習の狭間に潜む“強制”の空気
表向きは「任意」とされている購読勧誘だが、実際には職員が心理的に「断れない」と感じる状況が常態化している。とりわけ市議という立場からの勧誘であれば、その言葉の重みは格段に増す。
市職員の中には「自分の判断で断れない雰囲気だった」「断ったら不利益があるのではと不安だった」といった声があり、購読を続ける動機が自由意思とは言いがたいケースが多数見られた。
今回のような事例は、公務員の政治的中立に対する重大な侵害であると同時に、民主主義における表現の自由・思想の自由の観点からも看過できない問題を内包している。
「公務員の政治的中立」はどこへ?
政党の広報活動と自治体の業務は明確に切り分けられるべきだ。市役所は市民全体の利益のために存在する場であり、特定政党の政治活動に使われることは断じて許されない。
今回の調査で明るみに出たのは、政党や議員側の自制が不十分であるという事実だ。自らの思想信条を正当化するあまり、公務員の権利や職場の秩序を軽視してはならない。特に、税金で成り立つ公的な組織である以上、職場におけるあらゆる形の圧力は排除されるべきである。
議員側には「政党活動だから正当」という感覚が根付いている場合もあるが、それが職員に圧力と受け取られているのであれば、もはや“活動”ではなく“介入”である。自治体における公私の区別が曖昧になっている現状は、明確に見直されなければならない。
神谷市長の是正要請は、こうした構造的な問題に対する第一歩であり、市議会が真摯に対応するかどうかが今後の焦点となる。