2025-07-14 コメント投稿する ▼
【全国学力テストで中3数学が50%割れ】教育改革の限界?ICT導入進むも学力低下止まらず、文科省に問われる“本質”
全国学力テストで中3数学が50%割れ 子どもたちに何が起きているのか
文科省発表の2025年度全国学力テスト 国語・数学ともに低下傾向
デジタル化進めど成果見えず 学校現場に押しつけられる“形式改革”
学力より指導要領?「テストのための教育」の限界が露呈
文部科学省は7月14日、小学6年生と中学3年生を対象に今年4月に実施した2025年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を公表した。中学3年生の数学の正答率は48.8%と、ついに50%を下回り、全体としても小中ともに国語・算数(数学)の得点は前年より下がる結果となった。
また、今回初めて中3理科では、タブレットなどデジタル端末を使ったオンライン試験(CBT)形式が導入されたが、明確な成果は見られず、教育現場に“手段だけの改革”が先行していることを浮き彫りにした。
中3数学、ついに正答率50%を下回る
全国平均の正答率は、小学6年生で国語67.0%、算数58.2%、中学3年生では国語54.6%、数学48.8%。2024年度よりすべての教科で数字が下がっており、基礎的な学力の低下が続いている。
理科は3年ぶりの実施で、小6が57.3%。中3理科については、オンライン試験形式とし、国際的な学力調査でも採用されるIRTスコア方式が初めて導入された。全国平均は505点で、基準点(500)をわずかに上回るにとどまった。
「これが今の中学数学のリアルか…ショック」
「デジタル端末ばかり入れても、学力は上がらない」
「数学48%って、“半分も分からない”ってことだよね」
「学校は指導要領と忙しさばかりで、学ぶ時間を確保できてない」
「ICT教育の前に、“教える人”の質と余裕が必要では?」
こうした反応に共通するのは、「形式ばかりの改革では、肝心の学力は向上しない」という根本的な疑念だ。
「ICT化」だけが先行 肝心の中身が置き去りに
中3理科で導入されたCBT(Computer Based Testing)は、生徒がタブレットなどを用いて解答する方式だ。評価にはIRT(項目反応理論)という高度な統計手法が導入され、国際水準との比較も意識されている。
だが、生徒にはそのスコアは直接知らされず、5段階の位置づけでの返却にとどまる。保護者や現場教師からは「結局、何ができなかったのか分からない」との不満も出ており、教育的なフィードバックとしての有効性は疑問視されている。
加えて、オンライン化に伴うトラブルや操作負担もあり、現場からは「評価方式の“グローバル化”よりも、まず基本的な学力支援を」という声が強まっている。
学力低下の根本は“詰め込み”でも“ゆとり”でもなく、“現場の疲弊”
現在の教育現場は、指導要領改定・ICT機器導入・教科横断型の学習改革など、新しい取り組みに次々と追われている。その一方で、教員の人手不足や長時間労働、保護者対応の激化など、日々の指導に十分な時間とエネルギーを注ぐことが難しい状況にある。
「ゆとり教育」の反省を踏まえた“学び直し”の取り組みも続いているが、結果として現場が息切れし、子どもたちに十分な“土台”を提供できていない実態がある。
学力の底上げを真に実現するには、形式ではなく「教える人」と「学ぶ時間」の質を根本から見直す必要がある。
教育を数値化しても、子どもは育たない
文科省は7月31日に詳細な分析結果を公表予定としているが、その前に今一度、「テストのための学力」が本当に目指すべき姿なのかを問い直すべきだろう。
国際標準への対応、タブレット学習、AI教材の導入――そうした動きは決して悪ではない。しかしそれが「数字を上げるための改革」になってしまえば、子どもたちの“本質的な学び”はかえって遠のいてしまう。
いま問われているのは、「正答率」ではなく、「何のために学ぶのか」という問いそのものだ。