2025-04-18 コメント: 1件 ▼
博士課程支援に「日本人を基本」 文科省、留学生とのバランスに配慮し制度見直しへ
博士課程の支援制度見直しへ 「日本人を基本に」文科省が調整開始
博士課程の学生に年間290万円を支給する国の支援制度「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」が、大きな転換点を迎えようとしている。文部科学省はこの制度に、これまで設けてこなかった「国籍要件」を加える方向で検討を始めた。
背景には、「支援対象の3割が中国人留学生」という現状に対する国会での指摘がある。これを受け、文科省は日本人学生を基本とする形での制度設計を模索し始めた。とはいえ、留学生を一律に排除するわけではなく、優秀な人材には引き続き支援を行うという方針も併せて示している。
そもそもSPRINGって?
この制度は、博士課程への進学をためらう学生たちの最大の壁、「経済的な不安」を取り除くことを目的に、2021年度にスタートした。生活費と研究費を合わせて年間290万円が支給される仕組みで、最長3年間にわたってサポートが受けられる。
効果は少しずつ現れている。長年右肩下がりだった博士課程への進学者数は、2024年度には前年度より約5%増えて1万5744人に。決して爆発的な伸びではないが、制度導入が進学の後押しになっていることは確かだ。
なぜ「日本人を基本」に?
転機となったのは、2024年3月の国会審議。SPRINGの支援対象者のうち、中国人留学生が3割近くを占めていることが判明し、「国費による支援の優先順位はどうあるべきか?」という議論が巻き起こった。
これを受け、文部科学省は4月18日に有識者による作業部会を立ち上げた。今夏までに制度の見直し案をまとめる予定で、支援の中心を日本人学生に置く方針だ。ただし、制度の趣旨が「優秀な研究者の育成」である以上、海外から来た優秀な学生も排除しない、というバランス感覚も求められている。
見直しの先にあるもの
今回の見直しは、「誰に国費をどう支給するのか」という本質的な問いを含んでいる。日本の研究力を高めるには、国内の人材育成が急務であることは言うまでもない。一方で、国際社会とのつながりや海外からの知的な刺激も、今や無視できない存在だ。
制度の見直しが、内向きな排除ではなく、フェアな支援体制の再構築へとつながるかどうか。今後の議論の行方が注目される。