2025-10-10 コメント投稿する ▼
高市早苗総裁が評価する教育勅語、阿部俊子文科相「積極活用せず」安倍政権との方針差
阿部俊子文部科学相は2025年10月10日の閣議後記者会見で、教育勅語を学校現場で積極的に活用する考えはないと明言しました。 2025年7月の参院選後の会見でも、阿部氏は憲法や教育基本法に反する形で用いることは許されないと述べており、この日も教育勅語に関する考え方に変更はないとしています。
阿部俊子文部科学相は2025年10月10日の閣議後記者会見で、教育勅語を学校現場で積極的に活用する考えはないと明言しました。これは、自民党の高市早苗総裁が過去に教育勅語を高く評価していたことを受けた発言で、戦前の教育方針をどう扱うかが再び論争となっています。
高市総裁の過去発言が波紋
高市氏は2012年9月、自身の公式サイトで教育勅語について、現代においても尊重すべき正しい価値観だと記していました。両親が幼少期から教育勅語を唱えていた姿を好ましく回想し、子どもも大人も繰り返し唱和することで日本人全体が心を合わせて道徳を実践する空気を醸成したものだと評価しています。
さらに、敗戦後の連合国軍総司令部占領下で教育勅語が廃止されたことに触れ、日本が独立統治権を失っている間に壊されていったものは余りにも大きく、政治体制や教育政策、精神文化など多岐にわたって現在も影響が続いていると述べていました。
「教育勅語が道徳教材として復活するのは怖い」
「時代錯誤すぎて理解できない」
「主権在民と矛盾する内容を教育で使うべきではない」
「戦前回帰の動きに見えて不安になる」
「憲法の理念と全く合わないのに何故今更」
文科相は慎重姿勢を強調
10日の会見で阿部氏は、高市氏のサイトに記載があることは承知しているとしながらも、趣旨は承知していないとしてコメントを差し控えました。その上で、積極的に教育勅語を教育現場に活用しようという考えはないと明確に述べています。
また、教育勅語は日本国憲法の制定などをもって法制上の効果を喪失しているものだと説明し、内容について政府としてコメントは避けました。2025年7月の参院選後の会見でも、阿部氏は憲法や教育基本法に反する形で用いることは許されないと述べており、この日も教育勅語に関する考え方に変更はないとしています。
安倍政権下では教材化を容認
ただし、過去の政権では教育勅語の扱いが異なっていました。安倍晋三政権下の下村博文文科相は2014年4月の記者会見で、教育勅語そのものの中身は至極まっとうなことが書かれていると発言しています。
同じ日の参院文教科学委員会では、教育勅語の中身そのものについては今日でも通用する普遍的なものがあり、この点に着目して学校で教材として使うことは差し支えないと答弁しました。
政府は2017年3月、教育勅語をわが国の教育の唯一の根本とするような指導を行うことは不適切だが、憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではないとする答弁書を閣議決定しています。
過去の閣僚も肯定的評価
2018年10月には柴山昌彦文科相が会見で、教育勅語は現代風に解釈したりアレンジした形で道徳などに使うことができる分野が十分にあるという意味では、普遍性を持っている部分が見て取れると述べていました。
こうした経緯から、阿部文科相の発言は、過去の政権方針とニュアンスの違いがあることが指摘されています。高市総裁の就任後、文科省内からは教育勅語をめぐる政治介入への警戒の声も出ているとされます。
教育勅語は1890年に明治天皇の名で発布され、戦前の道徳教育の基本とされましたが、戦後は基本的人権を定める日本国憲法や教育基本法と相いれないとして、1948年に衆参両院で排除や失効の決議がなされています。