2025-10-10 コメント投稿する ▼
文科相「体罰は決して許されず」 春高バレー常連校監督が部員に暴力 全国で再発防止へ
全国高校バレーボール大会「春高バレー」の常連校として知られる秋田県立雄物川高校男子バレーボール部で、監督による体罰が明らかになった問題で、阿部俊子文部科学大臣は10日の閣議後会見で、「決して許される行為ではない」と強い言葉で非難した。
文科相、部活での体罰「決して許されず」 春高バレー常連校で暴力行為発覚
全国高校バレーボール大会「春高バレー」の常連校として知られる秋田県立雄物川高校男子バレーボール部で、監督による体罰が明らかになった問題で、阿部俊子文部科学大臣は10日の閣議後会見で、「決して許される行為ではない」と強い言葉で非難した。
生徒に対する暴力は、いかなる理由があっても正当化されません。
学校は事実関係を明らかにし、適切に対応し再発防止に努めていただきたい。
指導と称した体罰は教育ではありません。
スポーツの目的は勝利ではなく、心身の成長を支えることです。
文部科学省としても、ガイドラインに沿って全国的な指導を徹底します。
阿部氏はこう述べ、教育現場における「体罰根絶」の姿勢を改めて強調した。
監督が靴で殴打、日常的暴力も
関係者によると、雄物川高校男子バレーボール部の監督は、練習中に部員を靴で殴ったり、体をつかんで床に押し倒したりする行為を繰り返していたという。
学校側はすでに監督から事情を聴取し、事実関係の調査を進めている。複数の部員が「恐怖を感じた」「ミスをするとすぐ手が出た」と証言しており、暴力が日常的だった可能性が高い。
雄物川高校は秋田県内有数の強豪校で、全国大会への常連出場で知られる。地元では「指導が厳しい」と以前から評判だったが、今回の報道を受け、卒業生や保護者からも「時代錯誤」「選手の尊厳を傷つける指導は容認できない」との声が上がっている。
ガイドラインは「勝利至上主義の抑制」求める
文部科学省は2018年に「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」を策定している。この中で、指導者に対し「大会で勝つことのみを目的としないこと」を明確に求め、心身の成長を重視する指導方針の設定を指導している。
阿部大臣は会見で、「勝利を最優先にするあまり、暴力や過剰な叱責が指導と誤解される風潮がある」と指摘し、今後、各都道府県教育委員会に対して再発防止策の徹底を要請する方針を明らかにした。
また、体罰防止のための相談窓口の拡充や、指導者研修への参加義務化も検討されている。教育関係者の間では、「指導者が時代の価値観を学び直す機会が必要だ」との意見が広がっている。
“根性指導”の限界 スポーツ文化の転換点
今回の事件は、いまだに残る「根性指導」「暴力で鍛える文化」が、スポーツ教育の現場で根深く残っていることを浮き彫りにした。
心理学者や教育専門家は、「指導者が暴力を使う背景には、自分が受けた指導を正当化する意識がある」と指摘する。暴力を受けた経験を“伝統”と勘違いし、それを次世代に繰り返す悪循環が起きているという。
現役高校生からも、「監督に逆らえない雰囲気がある」「暴言や威圧的な指導も日常的」といった声が上がっている。SNS上では、
「体罰が強豪校の“裏側”だったと知ってショック」
「勝つためなら暴力も許されるという文化は終わらせるべき」
「選手の心を壊す指導は教育ではない」
「部活の目的をもう一度考える時期だ」
「保護者や地域も見て見ぬふりをしてきた責任がある」
といった意見が多く投稿されている。
教育現場の改革進むか
文科省は、今回の事案を全国的な再点検の契機と位置づけ、すべての都道府県教育委員会に対して「体罰・パワハラの緊急調査」を求める方向で調整している。
阿部文科相は「指導の名を借りた暴力を一掃し、子どもたちが安心して活動できる環境を作る」と述べ、教育現場への信頼回復を最優先課題に掲げた。
雄物川高校は監督を一時的に指導から外し、外部有識者を含む第三者委員会の設置を検討している。市教育委員会も「再発防止策を徹底する」として、指導者研修の義務化や保護者説明会の実施を進めている。
部活動の在り方が改めて問われる中、教育の現場は今、暴力に頼らない「新しい指導文化」への転換点を迎えている。