2025-09-26 コメント投稿する ▼
文科省が教員働き方改革で指針改定 過剰な苦情対応は「学校以外」に
文部科学省は9月26日、教員の働き方改革を進めるため、業務量の管理に関する指針を改定し、全国の教育委員会に通知した。 これまで学校や教員が対応してきた過剰な苦情や不当な要求について、今後は「学校以外が担うべき業務」と明確化し、負担軽減を図るのが狙いである。 ①学校以外が担うべき業務②教員以外が積極的に参画すべき業務③教員が行うが負担軽減を促進すべき業務―である。
文科省が指針改定、教員の働き方改革を本格化
文部科学省は9月26日、教員の働き方改革を進めるため、業務量の管理に関する指針を改定し、全国の教育委員会に通知した。これまで学校や教員が対応してきた過剰な苦情や不当な要求について、今後は「学校以外が担うべき業務」と明確化し、負担軽減を図るのが狙いである。
新しい指針では、教員の業務を三つに分類した。①学校以外が担うべき業務②教員以外が積極的に参画すべき業務③教員が行うが負担軽減を促進すべき業務―である。これにより、業務分担の線引きを鮮明にし、長時間労働の是正を進める。
学校以外に委ねるべき業務
今回の改定で「学校以外」と位置付けられたのは、保護者らからの過剰なクレーム対応や、登下校時の通学路の見守り、学校徴収金の管理などである。これらは地域や行政、民間団体などが担うべきだと整理された。
「教員以外」に振り分けられたのは学校ホームページの作成やデジタル端末の保守管理、体育館やプールの管理といった業務である。事務職員やICT支援員の積極的な関与、あるいは民間委託が想定されている。さらに「負担軽減すべき業務」には教材印刷や学校行事の準備が含まれ、支援スタッフの活用が促される。
働き方改革の数値目標と支援策
文科省は、教員の残業時間を国が設定する月45時間以内に抑えることを目標とする。すべての教員について上限超過ゼロを目指す方針だ。また、健康を守るため心理的負荷を調べる「ストレスチェック」の実施も盛り込まれた。
この改定は、教員の過労や心身不調が深刻化している現状に対応したものである。全国的に人員不足が続く中で、現場に過剰な業務を押し付ければ教育の質低下につながりかねない。
SNSに広がる賛否の声
指針改定をめぐってはSNSでもさまざまな意見が出ている。
「学校が何でも屋状態だった。やっと線引きができるのは前進だ」
「保護者対応を学校外に回すのは当然」
「現場に支援スタッフが本当に配置されるのか不安」
「45時間以内を目指すのはいいが、人員が足りないと無理だ」
「また書類だけ増えて実効性が伴わないのでは」
これらの反応は、現場の期待と懸念の双方を映している。
改革の成否は実行力次第
文科省の試みは、教員の長時間労働という長年の課題に対し一歩踏み出したものといえる。しかし、改革が実効性を持つかどうかは人員配置や財政措置にかかっている。地方の教育委員会が本気で仕組みを整え、外部委託や地域の協力を引き出せるかが成否を左右するだろう。
保護者や地域社会にとっても、学校に何でも求めるのではなく、教育活動の本質を支えるために役割を分担する意識が不可欠だ。教育現場を守ることは、子どもたちの未来を守ることに直結している。