2025-01-19 コメント投稿する ▼
デジタル教科書の正式導入検討へ 選択制導入に賛否の声
デジタル教科書の現状と導入計画
デジタル教科書は、紙の教科書と同じ内容をデジタル化したもので、児童生徒は1人1台の学習用端末で閲覧できます。
文部科学省は、2024年度から小学5年以上の英語と算数・数学の一部でデジタル教科書を導入しています。
中長期的には、紙の教科書とデジタル教科書のいずれかを選択して使用する選択制の導入も視野に入れています。
選択制導入の背景と課題
デジタル教科書を正式な教科書とするためには、学校教育法の改正が必要です。
文部科学省は2026年度までの改正を目指し、次期学習指導要領に基づく授業が始まる2030年度からの使用を想定しています。
デジタル教科書の導入に際しては、通信トラブルや端末の紛失・破損などのリスクが指摘されています。
専門家や教育現場からの懸念
デジタル教科書の学習効果については、紙に比べ記憶が定着しにくいとの研究結果や、視力低下などの健康面での懸念が報告されています。
東京大学の酒井邦嘉教授(言語脳科学)は、「デジタル教科書が紙と同等以上であることが示されていない状況で、正式な教科書にするのは拙速であり、子どもたちの学力に深刻な影響を与えるおそれがある」と指摘しています。
読売新聞が全国の小中学校長を対象に行ったアンケートでは、デジタル教科書の使用に関する懸念として、59.9%が「通信トラブル」、48.1%が「端末の紛失や破損」を挙げています。
保護者の意見
デジタル教科書の本格導入に対する保護者の意見は分かれており、ある調査では「賛成」が38.3%、「反対」が17.7%、「どちらとも言えない」が44.0%という結果が出ています。
デジタル教科書の正式導入と選択制の検討は、教育のデジタル化を推進する一方で、学習効果や健康面、技術的な課題など多くの懸念も存在します。今後、専門家や教育現場、保護者の意見を踏まえ、慎重な議論と対応が求められます。