2025-06-14 コメント投稿する ▼
共産・山下氏が「消費税5%」を提案 減税効果アピールも財源論に懸念の声
「物価高に無策」政府批判と共産党の減税提案
14日、奈良市で日本共産党の山下よしき副委員長(参院比例代表予定候補)が街頭演説を行い、今夏の参院選に向けて党の躍進を呼びかけた。演説で山下氏は、急激な物価高にもかかわらず有効な対策を打てていない政府・与党に対して強い批判を展開。「自民党はこの物価高に対して何も打つ手がない。庶民の暮らしに目を向けていない」と断じた。
そのうえで山下氏は、共産党が掲げる「消費税一律5%」への引き下げ提案を取り上げ、「軽減税率のような複雑な制度を残すよりも、すべてを5%に統一するほうがはるかに合理的。『食料品0%』よりも減税効果は倍になる」と主張。また、インボイス制度の必要性もなくなるため、事業者にとっても負担軽減になると訴えた。
政府が進める「補助金」「給付金」政策には触れず、より根本的な減税による可処分所得の増加こそが経済の底上げになるという視点から、同党の提案をアピールした。
「財源は応能負担で」富裕層・大企業への課税強化を提案
消費税減税に伴う財源についても、山下氏は「大企業や富裕層に応分の負担を求める」と説明。「石破首相も国債に頼らない財政姿勢を掲げており、ならばこうした方法を実現すべきだ」と述べ、政権与党の言葉を逆手にとって減税の正当性を強調した。
この論理は一見筋が通っているように見えるが、現実には「増税による再分配」は企業の国内投資意欲をそぎ、結果的に雇用や所得の減少を招くリスクがある。税制の根幹にあるのは、経済活動を刺激することで税収を自然増させる構造の設計であるべきだ。大企業や富裕層の負担を拡大する前に、まずは法人税減税とセットの形で大胆な所得税改革を行うべきではないか。
また、同党が一貫して主張する「インボイス廃止」も、透明性のある税制度への逆行と指摘されることが多い。制度の運用に問題があるのならば修正すべきであって、廃止という選択はあまりに短絡的だ。
共産候補らも続々演説 市長・市議選との連携訴える
この日の演説には、奈良選挙区から立候補予定の太田あつし氏も登壇し、「年金、医療、介護の分野でも危機は深まっている。自公政権に参院でも過半数を取らせてはならない」と聴衆に呼びかけた。
さらに、参院選と同日に投開票される奈良市長・市議選の「明るい会」推薦候補者も次々とマイクを握った。市長選には中村あつ子氏(共産党推薦)が出馬し、「暮らしの安心を取り戻す奈良市政を」とアピール。市議予定候補の6人も地域政策の充実や子育て支援拡充を訴えた。
現場で聞こえた有権者の声
演説会場では、支持者や通行人からさまざまな声が上がった。
「維新も国民民主も、結局は自公と同じ路線に見える。対抗軸は共産党しかないと思う」
「消費税5%は歓迎だけど、財源の現実性には疑問。法人税を上げたら企業が逃げるんじゃないか」
「給付金じゃ一時しのぎ。減税のほうがずっと家計に効く」
「そもそもインボイス制度は不公平。自営業者には地獄」
「でも本当に共産党に経済運営できるのか?政権とってみないと分からないじゃ不安」
演説を聴いた市民の中にはその場で日本共産党への入党を決意した人もいたというが、冷静な懐疑の声も多く、選挙戦の行方は予断を許さない。
「消費税5%」に潜む課題と対案
共産党が掲げる「一律5%」の消費税減税は、確かにインパクトは強い。しかしその一方で、歳入減による財政悪化の懸念や、社会保障制度の持続性への影響も無視できない。
減税を訴えるなら、まずは現在の歳出構造の見直し、無駄な補助金や外国援助の削減、公務員給与の適正化、そしてスパイ防止法など安全保障政策を整備し、国防や経済安全保障に資する形での財源再配置を行うべきだ。付け焼き刃の給付金や一時的なバラマキでは、未来の財政を食いつぶすだけに終わる。
また、消費税に代わる財源論の軸として、徹底した減税と規制緩和による経済活性化こそが王道である。大企業から吸い上げるよりも、企業活動を活性化させ、結果として税収を増やすという正攻法を見失ってはならない。