2025-06-06 コメント投稿する ▼
アセス法改定案が審議入り 山下芳生氏「原発適用除外は撤回を」事故リスクの明記求める
アセス法改定案が参院で審議入り 山下芳生氏「原発など適用除外は撤回すべき」
6日、参議院本会議で環境影響評価法(通称:アセスメント法)の改定案が審議入りし、日本共産党の山下芳生参院議員が登壇。法案に対して、「原発などを適用除外とする現行制度は、電力業界の圧力によるもので、歴史的に誤っている」と批判し、その撤回を強く求めた。
原発は“安全神話”の対象ではない 山下氏が事故リスクの明記を主張
山下氏は冒頭、アセス法において原子力発電所が長年にわたり適用除外とされてきたことに触れ、その背景には「電力業界の意向」があると指摘した。特に東京電力福島第一原発事故を例に、「かつての“原発安全神話”はもはや通用しない」として、原発のアセスには事故を想定した評価項目の追加が不可欠だと主張した。
放射性物質の拡散や環境汚染のリスクは極めて重大だ。アセスメント対象としない理由はどこにもない
と強調し、原子力規制委員会による審査だけでは十分ではないと断じた。
浅尾慶一郎環境大臣は「新規制基準のもとで、規制委員会が厳格に審査している」との従来の立場を繰り返したが、山下氏は「それでは環境省の責任放棄ではないか」と反論。政治としての環境配慮の在り方を問い直した。
戦略的環境アセスメントの導入を提案 半導体・データセンターにも言及
さらに山下氏は、近年巨額の国費が投じられている半導体製造拠点やデータセンターの建設が、大量の電力・水を消費し、温室効果ガスや有害化学物質(有機フッ素化合物=PFASなど)を排出していることを指摘。「いま必要なのは、個々の事業単位の評価にとどまらず、政策段階から環境に配慮する“戦略的環境アセスメント”制度の導入だ」と提起した。
主要国では、インフラ整備の上位計画レベルで環境影響を事前に評価する枠組みがある。日本も制度導入を急ぐべきだ
と訴えたが、浅尾環境相は「各国の事情は異なる。慎重な検討が必要」と述べ、踏み込んだ回答は避けた。
“建替配慮書”の導入にも懸念 発電所には実質適用されず
今回の法改定案には、新たに「建替配慮書制度」が盛り込まれている。これは老朽建築物の建て替えにあたって、環境影響評価の一部手続きを簡略化する制度だが、山下氏はこの制度が発電所建設には実質的に適用されないことを問題視。
電気事業法により、アセス法の報告書作成や公表、環境相・経産相の意見聴取といった基本的なプロセスが除外されている。これでは環境影響の実態は国民に知らされないままになる
と厳しく批判し、「こうした“特例”こそ、真っ先に見直すべきだ」と訴えた。
環境保全措置における不確実性の程度やその効果に関しても、電気事業に限って情報が反映されない現行制度は「時代錯誤」だとして、特例措置の撤廃を強く要求した。
ネット上では賛否 「原発除外はおかしい」「共産党の言う通り」の声も
アセス法の改定と原発適用除外の是非をめぐって、SNS上でも議論が活発化している。
「原発が環境アセスから除外されてたとか初めて知った。普通におかしいだろ」
「共産党の指摘はもっとも。事故リスクを評価しないのは怠慢」
「戦略的アセスは必要。電力インフラが気候危機の原因になるのはもう避けられない」
「共産党は原発ゼロしか言わないから信じにくい部分もある」
「でも実際に原発事故があった国として、見直すべきは当然だと思う」
原発や巨大インフラに関する環境評価のあり方を問う声が広がっており、法改定の審議が進む中で、国会と政府がどの程度国民の声に応えられるかが問われている。
“見せかけの環境配慮”から実効性ある制度へ
アセス法の改定は、今後の再生可能エネルギー政策や都市開発、インフラ整備とも密接に関わる問題だ。山下氏の指摘が強調したように、どれだけ環境に影響を与えるかではなく、「誰が判断し、誰に説明責任を負うのか」が制度の根幹にある。
“安全神話”に依存せず、実際に起き得るリスクを評価に反映し、市民が納得できる情報公開と合意形成の手続きを制度に組み込むことが、環境政策の信頼回復につながるだろう。