2025-07-29 コメント: 1件 ▼
暫定税率廃止で地方税収5千億円減の可能性 村上総務相が懸念表明「地方財政に打撃」
ガソリン暫定税率廃止で地方税収5千億円減 総務相が懸念表明
ガソリン税の暫定税率を廃止する法案を野党が共同提出する動きを受け、村上誠一郎総務大臣は7月29日の記者会見で、廃止が実現した場合「地方自治体の税収が年間で約5千億円減少する可能性がある」と述べ、強い懸念を示した。地方財政への打撃が避けられないとし、制度変更には慎重な議論が必要だと訴えた。
総務相「地方財政への影響は甚大」
村上総務相は会見で、「暫定税率の廃止は一時的なガソリン価格の軽減にはつながるが、その一方で地方の道路整備や公共インフラ、福祉・教育サービスに充てられている重要な財源が失われる」と指摘。地方自治体の運営に直接影響する規模の税収減となるため、「軽々に決定すべきではない」と慎重な姿勢を崩さなかった。
現在、ガソリン税には本則税率(28.7円/L)に加えて、暫定税率(25.1円/L)が上乗せされており、廃止されれば約半分近くが消失する。その一部は地方道路譲与税などとして地方に分配されており、今回の廃止法案が通れば、その財源が失われることになる。
野党は家計負担軽減を主張
一方、野党8党は29日、暫定税率の廃止を明記した法案を8月1日召集の臨時国会に提出する方針で一致。施行日は11月1日とする見通しだ。野党側は「ガソリン価格の高騰で生活に苦しむ国民を支援するために、まず税負担の軽減を優先すべきだ」と主張している。
与野党間では「減税による即効性」を求める声と、「財政の持続可能性」を重視する立場の対立が鮮明になっている。
市民の声も割れている。
「ガソリンが安くなるなら助かる。毎日使うから」
「減税で地方が苦しくなるなら本末転倒では?」
「節約よりも、使い道の無駄を見直すべき」
「5千億円って…どこがどう削られるか説明してほしい」
「今すぐ下げて。でも長期的に国が回らなくなるのは困る」
「減税か、財源か」問われる政治の覚悟
この問題は、単なるガソリン価格対策にとどまらず、国の税制度全体のあり方と財政責任のバランスをどう取るかという本質的な論点を含んでいる。
石破政権は就任当初から「持続可能な社会保障制度と責任ある財政運営」を掲げており、安易なバラマキ的減税には距離を置いてきた。一方で、物価高に直面する国民の負担感が高まる中、政権与党としても何らかの対策を講じる必要に迫られている。
野党が減税を主導する構図の中、与党としての「対案」や「代替財源」の提示がないまま批判に終始するようであれば、国民の不信感を招きかねない。5千億円の減収をめぐる議論は、単なる数字の問題ではなく、政治の優先順位と覚悟を問うものでもある。
今後の焦点は補填措置と制度設計
仮に暫定税率廃止が実現する場合でも、地方税収の穴をどう埋めるのかが課題として浮上する。政府与党内では、地方交付税での一時補填や、新たな目的税創設を模索する案もあるが、税体系全体をどう見直すかという議論が不可欠だ。
いずれにせよ、ガソリン税の暫定部分という「例外的な恒常措置」が問われ始めている今、制度の抜本的見直しに踏み出す機運が高まりつつある。