2025-11-26 コメント投稿する ▼
日本・さいたま市の市有地不正売却問題 外部通報窓口検討へ
また、今回のように公印の不適正使用や書類の偽造といった重大な不正については、内部の目や監視体制だけでは限界があるため、外部からの通報窓口を設けることで、より透明性が高まり、市民の信頼回復につながると期待されます。 ゆえに、今後は通報窓口の導入だけでなく、公有財産の管理体制の見直し、公印管理の厳格化、人員配置の最適化、意思決定過程の透明化といった、根本的な改善が求められます。
不正売却問題と第三者調査の経緯
さいたま市は2025年11月19日、さいたま市土地区画整理事業における不適正事務処理に関する第三者委員会(以下「第三者委」)の報告書を受け取り、この中で、与野駅西口土地区画整理事業に絡む市有地の不正売却について、組織ぐるみの意思決定と手続きの不正を明らかにしました。
報告書によると、当該市有地は行政財産であるにもかかわらず、必要な内部決裁を経ずに売却契約され、公印(市長印)が無断使用されていた形跡が確認されました。
この不正行為に関して、元職員が起訴され、2025年9月に有印公文書偽造および同行使の罪で有罪(執行猶予付き)判決を受けています。
「通報窓口」設置検討――再発防止を狙う
こうした事態を受け、清水勇人市長は11月26日の市議会12月定例会で、来年度中に市政に関する外部通報窓口の設置を検討する方針を明らかにしました。これにより、職員による不正や違法行為を、市の外部から市へ知らせやすくする枠組みの整備を目指します。すでに存在する内部通報窓口については、匿名での利用が可能であることも含め、制度の周知徹底が図られる見込みです。
第三者委も提言の中で、市の財産管理、公印管理、人事配置、意思決定の透明性を高めるとともに、通報・相談の受け皿として外部窓口の設置を継続的に検討するよう求めていました。
なぜ外部通報が必要か――内部統制の限界
今回の不正売却は、たとえ元職員個人の暴走とみなされうる行為であっても、第三者委によれば「個人の判断ではなく、市の都市局全体の方針と認識のもと進められた」と指摘されています。決裁を経ない売買が許されると実際に判断され、公印が軽んじられたという組織的な問題です。
さらに、事前協議の異常な長期化や、資産管理部門との連携不足、人員配置の偏りなど、組織運営の根本に構造的な欠陥があった点も浮き彫りになりました。こうした環境では、内部通報だけでは不正の芽を摘むのは困難です。
また、今回のように公印の不適正使用や書類の偽造といった重大な不正については、内部の目や監視体制だけでは限界があるため、外部からの通報窓口を設けることで、より透明性が高まり、市民の信頼回復につながると期待されます。
今後の焦点と制度設計の課題
外部通報窓口の設置は、制度としては重要な一歩ですが、どのような運用と守秘性が担保されるかがカギになります。例えば匿名性の確保、報告内容の適切な取扱、通報後の調査体制、通報者の保護といった項目が制度設計の中心になるでしょう。
また、今回の第三者委の報告は、売却手続きや公印管理の瑕疵について明らかにしましたが、同時に「職員の過重な業務」「適切でない人事配置」など、まちづくり事業を担う職員の負荷と育成・配置の在り方も問題視しています。外部通報窓口だけでは、このような組織の本質的な欠陥をただすことは難しいかもしれません。
ゆえに、今後は通報窓口の導入だけでなく、公有財産の管理体制の見直し、公印管理の厳格化、人員配置の最適化、意思決定過程の透明化といった、根本的な改善が求められます。
さいたま市の信頼回復に向けて
清水市長は、「組織として防げなかったことを深く反省する」と述べ、風通しの良い職場づくりに取り組む意向を示しました。外部通報窓口の検討は、その姿勢の表れといえます。
ただ、今回の不適正売買事件は、一部の職員だけの問題ではなく、決裁プロセスや部署間連携、公印管理、人員配置といった制度的な脆弱性があったことが明らかになりました。通報窓口が実現しても、制度設計と運用の中身が不十分であれば、同様の不祥事が繰り返される可能性があります。
市が真に市民の信頼を取り戻すには、形式的な改善ではなく、「なぜ不正が起きたのか」を徹底的に分析し、制度設計から見直す覚悟が求められます。市民の財産を扱う自治体として当然の責任です。