2025-06-10 コメント: 3件 ▼
自公、参院選公約に現金給付を検討 税収上振れ分活用で“バラマキ選挙”再燃の懸念も
自民・公明、参院選の目玉に「給付金」
夏の参院選を控え、自民党と公明党が“物価高対策”を名目に、現金給付やマイナポイントの支給を共通公約に盛り込む方向で一致した。10日に都内で行われた両党幹事長の会談後、方針が明らかにされた。自民の森山裕、公明の西田実仁両氏は、2024年度の税収の「上振れ分」を財源として活用することで合意しており、与党として選挙前に給付を打ち出す構えだ。
具体的な支給手法や金額は今後詰めるとしているが、政調会長レベルでの協議が進められている。現金給付に加え、マイナポイントでの還元策も選択肢として挙げられており、形式を問わず「年内の実施を目指す」(西田氏)という。
しかし、選挙を目前にした給付措置に対しては「選挙対策のばらまき」との批判が再び浮上しつつある。自民党内でも公然と懸念を示す声があり、政策本位ではなく人気取りが先行しているとの印象を拭い切れない。
減税ではなく再び「取ってから配る」構図
今回の動きで特に注目されるのは、「財源」として税収の上振れ分を使うという点だ。2024年度は当初見込みを上回る税収増が見込まれているが、それを一部国民への“再配分”に使う方針は、結局「取ってから返す」という構図を繰り返すことになる。
国民民主党の玉木雄一郎代表や、都民ファーストの会の幹部らはかねてより「給付金よりも減税を」と主張してきたが、今回の自公の方針は真っ向から逆行している。なぜ「最初から取らない」という発想には至らないのか。消費税や所得税を一時的にでも下げる議論は棚上げされ、支給のための事務コストがまた膨らむ可能性が高い。
「またか…。ばらまいて支持を買う選挙、もううんざり」
「減税より給付の方がコスパ悪いって何度言わせるんだろう」
「マイナポイントで受け取れって、まだ信頼してない人多いのに…」
「今さら選挙直前の現金支給って、票を金で買うみたいで嫌」
「バラマキで票を買う。それが自公スタイル」
このように、ネット上でも冷ややかな反応が目立つ。特に「減税ではなく給付」という選択に、国民の疑問や不信感は根強い。
「一律給付」路線の背景と各党の足並み
公明党は従来から一律給付に前向きな立場を取っており、7日の街頭演説で斉藤鉄夫代表は「一人一人平等にお返ししていき、生活支援したい」と明言している。これは明らかに選挙を意識したフレーズであり、過去の10万円一律給付などの成功体験を再現したいという思惑も見え隠れする。
一方、自民党では木原誠二選対委員長が9日の講演で「実効性のある給付」の検討を表明。ここでも減税には触れておらず、「配る」ことで経済対策を演出する姿勢が鮮明になっている。
参院選での争点化を狙ってか、野党も動きを見せている。立憲民主党はすでに「消費税減税の実施までの短期的措置」として、一人当たり2万円の現金給付を掲げており、与野党ともに「現金ありき」の姿勢が際立っている。
国民が求めているのは“返還”ではなく“負担軽減”
給付金は即効性がある反面、一過性で終わる政策である。何度も同じことを繰り返せば、国民の間には「次はいつ?」という期待と依存を生むだけで、財政健全化の観点からも危うい。
物価高に対する本質的な対策は、実は「取らないこと」だ。生活を支えるために、まず国民の手元に残る金額を増やすべきだという視点が、いまだに政府・与党から本格的に打ち出されないのは不思議でならない。
例えば、所得税の減税や消費税の一時的な軽減措置、社会保険料の見直しなど、構造的な負担軽減の提案があってもいいはずだ。だが、自公の方針はあくまで「配ること」であり、しかもそれが選挙のたびに繰り返される「習慣」になりつつある。
国民からすれば、もらえるものはありがたいかもしれないが、「その前に、取らなければいい」という至極真っ当な感覚が、政治の現場ではなぜか無視されているように映る。
政治の信頼回復へ、見せかけでない政策論を
参院選が近づく中、政党間で給付政策が競り合う構図は、耳障りはよくとも、国民に真の意味での生活安定をもたらすものではない。選挙のたびにカネで票を買うような姿勢を繰り返していては、政治への信頼は回復しない。
今、求められているのは「その給付は本当に必要か?」「その財源をもっと根本的な減税や支出削減に使えないのか?」という問いだ。声を上げる国民も増えてきた今こそ、政治家は誠実に応えるべきではないか。
現金やポイントで一時的な安心を与えるのではなく、恒久的に可処分所得を増やす、負担を軽くする、そのための「減税」という選択肢を真剣に検討すべき時に来ている。給付より減税こそが、持続可能な経済政策であり、国民の信頼を勝ち得る第一歩ではないだろうか。