2025-10-26 コメント投稿する ▼
久元喜造神戸市長4選、実績と安定で新人3人破る、投票率低下が課題
元市議で公認会計士の五島大亮氏(48)ら新人3候補が現状からの抜本的な改革を訴える中、久元氏は3期12年の実績に基づいた「ぶれることなく市政を進める」という一貫性のあるメッセージが神戸市民に受け入れられたと言える。 36.96%という数字は、12年ぶりに単独選挙となった今回の選挙が、市民の関心を十分に集められなかったことを示している。
実績と安定を選択、久元喜造氏が4選-市民の信任を得る
2025年10月26日投開票の神戸市長選挙は、現職の久元喜造氏(71)=公明党推薦=が4度目の当選を果たした。元市議で公認会計士の五島大亮氏(48)ら新人3候補が現状からの抜本的な改革を訴える中、久元氏は3期12年の実績に基づいた「ぶれることなく市政を進める」という一貫性のあるメッセージが神戸市民に受け入れられたと言える。投票率は36.96%で、前回選挙の53.79%と比べて16.83ポイント低下した。当日有権者数は122万981人だった。
久元氏は2013年の初当選以来、3期にわたり神戸市政を担ってきた。中心的な成果として、都市部と三宮ウォーターフロントの再整備、神戸空港の機能強化、市立中学校の部活動を民間受け皿に移す「コベカツ」の推進などを掲げた。選挙戦では自民、立民、国民民主、公明の各党県連から推薦を受け、終盤には片山さつき財務相も応援に駆け付けた。こうした広範な支援体制の下で、手堅い組織戦を展開し、勝利を勝ち取った。
SNS活用を控え、リアルな市民対話を重視
久元氏の選挙戦の特徴は、SNSでの情報発信を控えめにしながら、「リアルな市民との対話」に軸足を置いたことだ。対立候補の3人がソーシャルメディアで情報発信を活発に行った中で、久元氏は駅前などでの街頭演説を数多くこなし、直接市民と対話する時間を重視した。「神戸の発展と市民の幸せのために全力を尽くす」という基本的なメッセージを何度も繰り返し、有権者に対する信頼感を醸成していった。
久元氏が公約として掲げた「100の政策」には、子育てと仕事の両立支援、神戸空港の一層の国際化、都心部の再整備、阪神淡路大震災の教訓に基づいた防災対策の強化など、多岐にわたる施策が盛り込まれた。これらの政策群は、バランスよく市全体の課題に対応する姿勢を示すもので、「オールラウンドプレイヤー」としての久元氏のイメージを形成していた。
新人3候補が改革を訴えるも、安定と継続が優位に
新人3候補の中で最大の挑戦者は、神戸市議を4期務めてきた五島大亮氏だった。五島氏は人口減少への危機感を前面に打ち出し、「守るべきものは守り、変えるべきものは変える」というメッセージで現状からの方針転換を訴えた。神戸を「再起動」する必要性を強調し、居住・雇用増加に向けた施策の充実を公約として掲げていた。だが、長年の市議経験にもかかわらず、新人であることの「未知数」が有権者に不安感を与えたと考えられる。
兵庫県労働組合連合会事務局長の岡崎史典氏(56)とニュース分析会社社長の木島洋嗣氏(50)も立候補したが、全国知事会会長として国政にも通じた久元氏の知名度と、3期12年の実績の厚みの前では、知名度面で大きく後れを取った形となった。
投票率低下は関心の低さを反映、市民の危機意識と課題
今回の市長選の大きな課題は投票率の急落である。36.96%という数字は、12年ぶりに単独選挙となった今回の選挙が、市民の関心を十分に集められなかったことを示している。衆参同時選挙が行われた時期に比べると、市長選単独の投票率がここまで低いのは、地方選挙全般における投票参加率の低下傾向を反映したものと言えるだろう。
こうした投票率の下落は、市政の主要課題が有権者に十分に伝わっていなかった可能性もある。人口減少、再開発事業の進捗状況、防災体制の整備など、神戸市が抱える複数の課題について、市民との十分な対話が成立していなかったのではないか。次期市政では、より積極的な市民参加の促進と、政策課題に対する市民理解の向上が求められるだろう。
当選後、4期目への決意を述べた久元氏
当選後、久元氏は支援者を前にして、「さらに市長を続けるのが良いのか本当に迷った」と打ち明けた。高齢化による体力への不安や、4期目への責任感の重さから、悩みながら出馬を決断したことが伝わる発言だ。だが同時に、「この道が良いのだと市民が判断したと思う」と述べ、市民の選択を真摯に受け止める姿勢を見せた。
久元氏は決意表明で、「スピード感を持って事業を進める」と宣言し、特に都心部の再整備などの大型事業での早期完成に向けた決意を示した。さらに「決しておごることなく初心を忘れることなく、市民のみなさんのために全身全霊、汗をかかせていただきたい」と述べ、謙虚さと覚悟を両立させた形で4期目への意気込みを語った。
今後の久元市政が、人口減少への対処、再開発事業の実現、防災体制の強化といった重要課題にどう取り組んでいくのか、そして有権者の期待にどこまで応えられるのかが注視される。投票率の低さという課題も含めて、市民参加度の向上と市政の透明性強化が4期目の重要なテーマになるだろう。