2025-08-27 コメント投稿する ▼
神戸市がシンガポールに新拠点を開設 製造業とスタートアップ連携で国際展開強化
神戸市、シンガポールに経済交流拠点を新設
神戸市は27日、海外との経済交流を一層強化するため、新拠点「神戸シンガポールビジネスオフィス」(英文名称:Kobe Trade Information Office, Singapore)を開設したと発表した。駐在するのは経済観光局経済政策課の課長級職員1人で、シンガポールを拠点にASEAN諸国やインドなど経済成長が著しい地域との交流を深める狙いだ。
今回の進出は、神戸市が持つ製造業を中心とした産業構造と、シンガポールや周辺諸国に集積するスタートアップ企業の動向が合致したことが背景にある。国際競争力を高めるため、現地での企業支援策や制度に関する情報収集、企業間のマッチング、貿易支援機関との連携強化を担う拠点として機能する。
スタートアップと製造業の親和性に注目
同オフィスは、シンガポール国立大学の一つである南洋理工大学(NTU)が全額出資する創業支援機関「NTUititive」が運営する起業支援施設に入居する。現地にはものづくりや製造業に関連するスタートアップが多数拠点を置いており、神戸市が誇る製造業との相互交流が期待されている。
神戸は古くから重工業や医療産業、食品分野など多様な製造業が集積してきた都市であり、その技術力は国内外で高く評価されている。一方で、人口減少や国内需要の縮小により、海外市場を視野に入れた新たな成長戦略が不可欠になっていた。シンガポール進出は、現地スタートアップとの技術交流や共同開発を通じ、神戸企業の国際的なプレゼンスを高める可能性を秘めている。
ネット上では、
「シンガポールに拠点って攻めてるな」
「課長1人で大丈夫なのか」
「製造業とスタートアップの連携は面白い」
「神戸市が本気で海外展開に乗り出した」
「成果が市民に還元されるかが大事」
といった反応が寄せられており、市民の期待と懸念が入り混じっている。
ASEAN・インド市場を視野に
神戸市が拠点を置いたシンガポールは、東南アジアのハブとして物流や金融、人材交流の面で圧倒的な優位性を持つ。ASEAN全体の人口は6億人を超え、今後も消費市場としての成長が見込まれている。また、インドはIT産業やスタートアップ分野で存在感を強めており、神戸市としてもビジネス展開のパートナー候補と位置付けている。
神戸市は今後、現地の行政や企業、大学とも連携しながら、市内企業の海外展開を後押しする考えだ。例えば、貿易や投資を仲介する現地機関と連携し、市内企業が新市場に参入する際の手続きを支援することや、現地企業とのビジネスマッチングイベントの開催などが想定されている。
神戸経済の国際競争力強化と課題
今回のシンガポール拠点設置は、神戸市の国際戦略における重要な一歩であることは間違いない。ただし、駐在員が課長級1人にとどまる点は課題とされる。限られた人員でどこまで現地の情報収集やネットワーク形成を進められるのかが問われる。
また、市民の目線では「海外進出に税金を投じるなら、どのような成果を生むのかを明確に示すべきだ」という声も根強い。成果が市内企業の海外展開や雇用創出、経済活性化として還元されなければ、単なるパフォーマンスに終わる恐れもある。今後は成果の見える化と、市民への説明責任が一層求められる。
神戸市は過去にも海外都市との交流拠点を設けてきたが、継続的に成果を上げている例は限られている。今回のシンガポール拠点が他と一線を画す成果を残せるかどうかは、今後数年の取り組みにかかっている。
神戸市シンガポール拠点開設で広がる海外展開の可能性
シンガポールでの新拠点開設は、神戸市の製造業を中心とした地域経済を海外市場へ橋渡しする重要な試みだ。今後は市内企業の海外進出の成果や、市民にどのように利益を還元するのかが最大の焦点となる。現地ネットワークをどれだけ構築できるかが、神戸経済の国際競争力強化を左右することになるだろう。