2025-08-13 コメント投稿する ▼
福岡県、土地買収額が適正価格の5倍に 評価やり直し繰り返し透明性に疑問
福岡県、土地買収額が適正価格の5倍に
福岡県が公共事業のために行った土地買収で、当初算定された適正価格430万円から、最終的に約5倍の2165万円にまで補償額が膨らんでいたことが関係者への取材で分かった。内部資料によれば、地権者が価格に難色を示した後、県が委託業者に「希望単価」を提示し、再評価を繰り返していたという。
公共事業における用地買収額の交渉過程は非公開が原則であり、外部からのチェックは困難だ。今回のように、公金で賄われる補償額が大幅に増額される事例が表面化するのは異例で、制度の透明性や公正性を巡る議論が高まる可能性がある。
「公金を使う以上、説明責任は避けられない」
「なぜ5倍まで増額になったのか検証が必要」
「価格交渉が事実上行われていたのではないか」
「非公開制度が不透明さを助長している」
「こういう事例は再発防止策を伴って公表すべきだ」
増額の経緯
県が買収したのは、福岡県赤村にある2505平方メートルの山林で、主要地方道「行橋添田線」整備に必要な用地だった。2024年10月、県田川県土整備事務所は委託した補償会社の評価を踏まえ430万円と算定し提示。しかし地権者が「安すぎる」と拒否した。
11月には、土地内に造成地があるとして再評価を指示し578万円に増額。それでも合意に至らず、12月には造成地部分の平米単価を1万3700~1万4400円とする「希望単価」を提示し、3度目の再評価へ。この結果、補償額は2165万円に跳ね上がり、2025年4月に契約、同年6月20日に支払われた。
地権者の立場と県の説明
地権者は部落解放同盟福岡県連の副委員長で、交渉中の2024年10月にも同和問題に関する協議に県幹部が同席していた。このため「特別な配慮があったのでは」との憶測も出ているが、県側は否定。当時の担当者は「2度の評価ミスがあっただけで、立場は一切関係ない」と説明している。地権者も「立場を利用した事実はなく、価格つり上げの認識もない」と述べている。
制度の透明性への疑問
県の仕様書には「値段交渉による増額は認められない」と明記されているが、今回の事例は実質的に交渉結果として増額された形に見える。土地評価や補償額決定の過程を非公開としている現行制度は、こうした疑念を払拭しにくく、今後は第三者機関によるチェックや手続きの透明化が求められる。
県民にとって公共事業は生活インフラの基盤であり、信頼を損なうような金額決定の在り方は看過できない。今回のケースは、公共事業の適正な執行と説明責任の重要性を改めて浮き彫りにしている。