2025-12-05 コメント投稿する ▼
副首都構想で福岡県知事が立候補表明、南海トラフリスク回避で大阪案に対抗
維新が想定する大阪ありきの議論に対し、福岡県は地理的な安全性を前面に押し出し、災害時のバックアップ機能として福岡県の有用性をアピールしています。 しかし、想定される大阪では南海トラフ地震による深刻な被害が予想されており、真のリスク分散になるのか疑問視する声が高まっています。
大阪ありきの副首都構想に異議
福岡県知事が名乗り、南海トラフリスク回避の切り札として日本海側の地理的優位性を強調
自民党(自由民主党)と日本維新の会(維新)が進める副首都構想をめぐり、福岡県の服部誠太郎氏(知事)が2025年10月31日の記者会見で、福岡県が副首都の候補地になり得るとの考えを示しました。維新が想定する大阪ありきの議論に対し、福岡県は地理的な安全性を前面に押し出し、災害時のバックアップ機能として福岡県の有用性をアピールしています。
副首都構想は、災害時に首都機能をバックアップする拠点を設ける構想です。しかし、想定される大阪では南海トラフ地震による深刻な被害が予想されており、真のリスク分散になるのか疑問視する声が高まっています。
福岡県勢の結束、大阪偏重論に対抗
服部知事は会見で「福岡県がこの首都機能、中枢機能のバックアップ拠点の候補地になり得る」と述べました。この発言を受け、福岡市の高島宗一郎氏(市長)も「BCP(事業継続計画)という観点で福岡は適地」と主張しています。さらに北九州市の武内和久氏(市長)も「福岡市と連携、補完しながらバックアップしたい」と同調し、福岡県勢が結束して副首都候補地に名乗りを上げる構図が鮮明になっています。
福岡県が主張する最大のセールスポイントは、首都圏や大阪と違い都市部が日本海側に位置する点です。南海トラフ地震や首都直下地震での被害は比較的小さいとみられ、同時被災のリスクが低いことを強調しています。
「南海トラフが起きたら大阪も一緒に被災するでしょ。福岡なら安全だと思う」
「副首都は災害時のバックアップが目的なのに、大阪では意味がないのでは」
「日本海側の福岡の方が地理的にリスク分散になる」
「大阪ありきで進めるのは筋が通らない」
「福岡の方が人口の割にインフラが整っていて現実的だ」
南海トラフ地震が大阪直撃、副首都機能は絶望的
南海トラフ地震が発生した場合、大阪府では震度6弱から6強の強い揺れが想定されています。大阪市域では最大5メートルから10メートルの津波が襲来し、広範囲にわたる浸水が予想されています。特に大阪湾沿岸部では液状化現象も発生し、インフラ機能が大幅に低下する可能性が高いとされています。
このような状況下で、大阪が副首都としてのバックアップ機能を果たせるのかは極めて疑問です。津波到達時間は約110分とされており、政府機能の継続には十分ではありません。また、関西国際空港も浸水リスクがあり、国際的な連絡機能も麻痺する恐れがあります。
一方、福岡県は南海トラフ地震の影響を受けにくく、過去1300年間で福岡市に被害をもたらす津波は発生していません。2005年の福岡県西方沖地震では震度6弱を記録しましたが、津波は観測されませんでした。地理的に見ても、福岡県は首都圏と大阪圏の両方と同時に被災するリスクが極めて低いという利点があります。
維新の思惑と大阪都構想の影
日本維新の会が推進する副首都構想には、過去2度の住民投票で否決された大阪都構想の影が色濃く映っています。維新が発表した副首都構想の法案骨子では、特別区の設置が副首都指定の条件とされており、これは事実上の大阪都構想の復活を意味しています。
副首都構想の実現には4兆円から7兆5000億円の費用がかかると試算されており、これらの費用を大阪に集中投資することで、維新の地盤固めを図る思惑があるとの指摘もあります。しかし、国民の税負担で進める以上、真に国益にかなう選択が求められます。
副首都構想は大阪ありきで国民の理解を得られないばかりか、災害時のリスク分散という本来の目的にも合致していません。すでに人口の多い大阪よりも、メリットが大きくコストパフォーマンスの良い地域はたくさんあります。福岡県のように、地理的優位性と既存のインフラを活用できる地域こそ、副首都の候補として真剣に検討されるべきです。