2025-06-29 コメント: 1件 ▼
軽装登山は通行拒否も 富士山吉田ルートに常設ゲートと新ルール、レンジャーに“入山拒否権”
規制2年目の富士山、登山ルールが厳格化
7月1日、富士山の山梨県側吉田ルートが山開きを迎える。今年は登山規制の2年目。無謀な軽装登山や弾丸登山が相次いだことを受けて、山梨県はより踏み込んだ対策を講じる。
最大の特徴は、軽装の登山者に対して「通行を拒否できる」新たな権限が富士山レンジャーに与えられたことだ。これまでも安全指導や注意喚起は行われていたが、今年からは「安全に登れない」と判断された場合、5合目の登山ゲートで足止めされることになる。
登山ルートのうち、特に人気の高い吉田ルートでは、昨年より登山者の入山規制が導入されていたが、今年はさらに3つの大きな変更点が加わる。
新ルール1:午後2時でゲート閉鎖、弾丸登山を防ぐ
まず1つ目の変更点は、登山ゲートの閉鎖時間を「午後2時」に繰り上げたこと。昨年は午後4時まで入山可能だったが、その時間ギリギリに無計画な団体客が押し寄せる事態もあった。これを防ぐため、2時間前倒しの対応となる。
午後2時から翌朝午前3時までは、原則として登山道は閉鎖される。ただし、山小屋を事前予約している登山者はこの限りではない。
「午後2時で締め切るのは正解。夜通し登る弾丸登山なんて危険すぎる」
「去年の午後4時締切はザルだった。外国人団体の強行突破もあったし」
「無理な深夜登山は、救助要請も増えて現場が混乱するだけ」
新ルール2:通行料は4000円に倍増、保全協力金は統合
2つ目の変更は通行料の値上げ。これまで任意で徴収されていた保全協力金1000円は廃止され、通行料が一律4000円に統合される。これまでの2000円から倍額となる。
この通行料には登山道や環境保全のための費用、安全対策、レンジャー活動などが含まれており、観光資源としての富士山を守るための実質的な「入山税」と言える位置づけだ。
「通行料4000円?安いくらい。登るなら命を守る装備して当然」
「富士山が観光地化しすぎたツケ。お金を払ってでも守るべき価値がある」
「中には“金払ってるから登らせろ”って態度の人もいたから、ちゃんと説明を」
新ルール3:レンジャーに“入山拒否権”、軽装対策が本格化
そして最大の注目点が3点目。富士山レンジャーに「装備不十分」と判断された登山者の通行を拒否する権限が与えられた。登山装備が整っていない、雨具や防寒具がない、登山靴ではなくサンダルやスニーカーといった場合は、いくら通行料を払ってもゲートを通れない可能性がある。
富士山の標高は3776m。夏でも山頂付近では気温が氷点下になることもあり、軽装登山は命に関わる危険行為とされている。
登山者に求められる装備例としては、防寒着、上下分離型の雨具、登山靴、ライト、手袋、水・食料などが推奨されている。特に、日没後や悪天候時には最低限の装備が生死を分けるケースもある。
「ようやく“拒否”できるようになったか。言っても聞かない人多いから」
「サンダルにTシャツで登る外国人、本当に多いんだよ」
「レンジャーが可哀想だった。ルールが無いから何もできなかった」
世界遺産・富士山を守れるか?登山者のモラルが問われる夏
2013年に世界遺産に登録されて以降、富士山の登山者は年々増加。外国人観光客の急増やSNS映え目的の無謀登山が相次ぎ、山の環境は大きく変化した。山小屋の混雑、ゴミ問題、体調不良による救急搬送…。観光地と化した富士山の“裏側”に、登山本来の安全意識が追いついていない現実がある。
登山規制の2年目を迎える今年。吉田ルートの試みが成功すれば、他の登山道にも波及する可能性がある。だが、制度だけで解決できる問題ではない。最終的には登山者一人ひとりの自覚と準備、そして自然への敬意が問われている。
本来、富士登山は“気軽な観光”ではなく、しっかりとした準備が必要な「本格的登山」だ。新たな規制が実効性を持つためには、レンジャーの判断を支える世論と、登山者の理解と協力が欠かせない。