2025-06-13 コメント: 1件 ▼
非公認の三宅茂樹氏を都連会長が応援 “けじめ”を自ら覆す自民党の矛盾
政治資金問題の渦中で立つ 三宅氏の「信頼回復」挑戦
東京都議選が告示された6月13日、世田谷区選挙区から8選を目指す三宅茂樹候補(元自民党、公認なし・無所属)が出陣式を行った。三宅氏は都議会自民党会派の重鎮として長年活動してきたが、今回は政治資金パーティー収入の不記載問題により、自民党東京都連から公認されないという異例の形での立候補となった。
それにもかかわらず、出陣式には都連会長である井上信治衆院議員が駆けつけ、マイクを握ってこう語った。
「公認しないという決断はしたが、個人としてどうしても当選してもらいたいと朝一番に駆けつけた」
握手を交わす両者の姿は、組織としての「けじめ」と、個人としての「信頼」の間で揺れる都議選の象徴とも言える。
「責任は重い」処分の中で異彩放つ三宅氏
今回の問題では、都議会自民党会派の議員26人の政治資金収支報告書にパーティー収入の不記載があり、うち6人が会派幹事長経験者だったため、「責任が重い」として自民党都連は公認を見送った。三宅氏もその一人だ。
それでも三宅氏は、支持者や地域住民の声を受け、「もう一度都政で働きたい」と無所属での出馬を決断。支援者に向けては「このまま終わるわけにはいかない。信頼を取り戻したい」と強く訴えている。
出陣式では多くの支援者が集まり、地元への根強い支持の存在を印象づけた。ただ、都連から公認を外されたという事実は重く、「信頼回復」は一朝一夕にはいかない課題である。
井上会長の応援は“逆効果”か?党内から異論続出
井上信治氏の応援は「個人としての支援」であると強調されたが、これに対し、自民党内からは反発の声が強まっている。現職の自民公認候補の一人はあきれ顔でこう語った。
「非公認にした意味がない。『無反省だ』とまた批判される。都連会長の資質を疑う」
都連が示した“けじめ”を井上氏が自ら破ったようにも見える構図に、党内の統制が揺らぎかねないとの懸念もある。応援行動が「筋を通したつもりの判断」であっても、それが「都連の処分を台無しにしている」という評価になってしまっているのが現実だ。
ネットでも賛否 「筋を通した」か「身内に甘い」か
三宅氏の立候補、そして井上氏の支援に対しては、ネット上でも意見が分かれている。長年の実績を評価する声と、不記載問題への不信を拭えない声が交錯している。
「三宅さん、地域のために働いてきたのは事実。でも今回は一線引くべきだったのでは」
「井上さんの応援は逆効果。“身内には甘い”って思われるだけ」
「無所属になってまで出るなら、都連からの処分の意味はどこに?」
「三宅氏を支持する有権者の声が強いのは事実。それに都連が追いついてない」
「処分は処分として、立候補は自由。だけど応援までするのはモヤモヤする」
今後の選挙戦では、こうした“信頼と不信のはざま”を三宅氏がどう乗り越えるかが問われる。
信頼の再構築はできるか 三宅氏に突きつけられた二重の審判
三宅茂樹氏が今回、無所属という立場で挑む東京都議選は、ただの当落をかけた選挙ではない。不記載問題に揺れた都議会自民会派の象徴的存在として、自身の過去に対しても、有権者からの信任を問い直される立場にある。
井上氏が「個人としての応援」を表明したことで、その選挙戦は一層注目を集める形となったが、裏を返せば「支援されることの是非」までも争点になってしまったとも言える。都民の審判は、三宅氏の過去の実績だけではなく、「責任の取り方」と「これからの信頼の築き方」にも向けられている。
三宅氏が8選という長いキャリアの中で培った信頼を、今回の選挙で取り戻せるかどうか。その鍵は、有権者がどこまで過去の過ちを「許容」し、未来を託すかにかかっている。