2025-05-05 コメント投稿する ▼
ガソリン税廃止で123億円減収試算 新潟県の“国頼み”姿勢に疑問の声 自治体の自立性問われる
税収頼みの県政に限界
新潟県知事、ガソリン税廃止に「埋め合わせを」 だが問われるのは地方の自立
「これはとても飲み込める金額ではありません」──そう語ったのは、新潟県の花角英世知事だ。
政府が検討を進めているガソリン税(揮発油税)の暫定税率の廃止。これが実現した場合、新潟県の歳入は年間123億円減少するという。花角知事は「県民にとって負担軽減になること自体は望ましい」としつつも、減収の影響を深刻に受け止め、「国にしっかりと対応を検討してほしい」と強調した。
「これはとても飲み込める金額ではありません。この税収の減収分をどういう形で埋め合わせていくのか、これは同時に国においてしっかり検討し考えていただきたい」(花角知事)
しかし、この発言に対しては「そもそも一時的な“暫定”税率を半世紀近く当たり前のように歳入に組み込んでいたことこそ問題だ」との批判も出ている。
暫定税率は「臨時のはずが恒久化」
ガソリン税の暫定税率は、1974年のオイルショック時に財源不足を補う目的で導入されたものだ。揮発油税と地方道路税に上乗せされる形で、1リットルあたり約25円の課税が加えられてきた。しかしその「暫定措置」は、政治的な判断により何度も延長され、今日に至るまで事実上“恒久財源”と化している。
「名前こそ暫定だが、実態は長年にわたる既得権益そのもの。県も国もそれに頼りすぎたツケが今、回ってきている」(財政学専門の大学教授)
地方自治体がこの暫定税収に頼ってきた構造自体が、制度的にも政治的にも大きな問題をはらんでいる。
国に頼る前にやるべきことがある
花角知事の「国に埋め合わせを求める」という発言に対し、ネットでは辛辣な意見も見られた。
「行政サービスの見直しや構造改革をやらず、ただ国に“金を出せ”というのは無責任では?」
「ガソリン価格が下がれば県民は助かる。地方の努力なしに“補填ありき”の姿勢は疑問」
「今の税制が歪んでるのは確か。でもそれに依存してた県にも責任はあるだろ」
「財政の見直しを避けてきた結果がこれ」
「増税のときだけ“自己責任”を言い、減税には“国に補填しろ”は通用しない」
確かに、急激な減収には配慮が必要だ。しかし本来、地方自治体は限られた予算のなかで優先順位をつけ、必要な行政サービスを見直す責任を負っているはずだ。
「負担軽減」は正義、だが…
政府がガソリン税の暫定部分を廃止すれば、レギュラーガソリンの価格は1リットルあたり25円程度下がる可能性がある。物価高に苦しむ国民にとっては明確なメリットだ。花角知事もその点は否定していない。
だが、その裏で地方財政が厳しくなるというなら、県自らが「何を守り、何を削るのか」という取捨選択を行うべきだろう。それができなければ、「国に面倒を見てもらう地方」という構図から一歩も抜け出せない。
「ガソリン税問題」は地方の自立性を問う試金石
今回の問題は、新潟県だけの話ではない。全国の地方自治体が抱える「依存体質」と「構造的脆弱性」が、ガソリン税の議論をきっかけに一気にあぶり出された。
政治的には「県民のために減税を歓迎し、減収分は国に」と言えば聞こえはいい。だが、真の意味での自治と責任は、そんな他力本願な姿勢では成り立たない。
花角知事をはじめとする地方の首長たちには、いまこそ「自立した行政運営」とは何かを問い直す時が来ている。