柏崎刈羽原発再稼働で30キロ圏自治体の半数近くが反対多数、花角知事の判断に重圧

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柏崎刈羽原発再稼働で30キロ圏自治体の半数近くが反対多数、花角知事の判断に重圧

東京電力柏崎刈羽原発の再稼働を巡り、新潟県が2025年11月6日に公表した住民意識調査で、原発から30キロ圏内の9市町村のうち半数近くで再稼働反対の声が過半数を占める結果となりました。 30キロ圏内でも原発立地自治体の刈羽村では「再稼働の条件は現状で整っている」とする回答が最多の計50%に達しており、立地自治体と周辺自治体の認識の違いが鮮明になっています。

東京電力柏崎刈羽原発の再稼働を巡り、新潟県が2025年11月6日に公表した住民意識調査で、原発から30キロ圏内の9市町村のうち半数近くで再稼働反対の声が過半数を占める結果となりました。県内で2番目に人口の多い長岡市で反対意見が53%に達するなど、4市で反対が半数を超えており、原発により近い住民の慎重論が鮮明になっています。

30キロ圏住民の懸念が浮き彫りに


今回の調査は原発から30キロ圏にある9市町村から抽出した18歳以上の8,070人を対象に実施され、4,707人が回答しました(有効回答率58%)。調査結果では地域による温度差が明確に現れています。

「やっぱり近くに住んでると心配になるよね」
「長岡も結構近いし、万が一のことを考えちゃう」
「避難計画とか現実的じゃない気がするんだよな」
「雪が降ったら逃げられるのかしら」
「福島のことがあったから、やっぱり怖い」

「どのような対策を行ったとしても再稼働すべきでない」との設問に対し、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と回答したのは、最多の長岡市と小千谷市で計53%に上りました。一方、原発が立地する刈羽村では計33%と最も少なく、地理的な距離と住民感情に相関関係が見られます。

長岡市は原発の立地する柏崎市に隣接しており、事故時の避難態勢への不安や豪雪などとの複合災害への懸念が背景にあるとみられています。新潟県は雪国であり、冬季の避難の困難さが住民の不安を増大させている要因となっています。

反対が過半数を超えたのは長岡市、小千谷市のほか、燕市、見附市の計4市です。これらの地域では「再稼働の条件は現状で整っている」とする回答も低調で、長岡市と燕市では計34%にとどまりました。

全県調査との温度差が明確に


この結果は、2025年10月1日に県が発表した全県民を対象にした調査とは対照的な内容となっています。全県調査では再稼働を容認する意見が50%、反対が47%(当初は48%と発表したが、県が後に訂正)と拮抗していました。

より原発に近い住民の一定数に強い懸念があることが浮き彫りになった形で、花角英世知事氏は厳しい判断を迫られることになります。政府と東電による再稼働への期待と圧力が高まる中、地元住民の複雑な心境が改めて示されました。

30キロ圏内でも原発立地自治体の刈羽村では「再稼働の条件は現状で整っている」とする回答が最多の計50%に達しており、立地自治体と周辺自治体の認識の違いが鮮明になっています。刈羽村では「どのような対策を行ったとしても再稼働すべきでない」との回答が計33%と最も少なく、地域経済への影響なども考慮された結果とみられます。

花角知事の判断時期に注目


花角知事氏は再稼働の是非について「県民の受け止めを見極める」として、市町村長との対話、公聴会、そして県民意識調査の3つを判断材料としてきました。市町村長との意見交換と公聴会は既に8月末で終了しており、今回の調査結果が最後の重要な判断材料となります。

花角知事氏は2025年9月の段階で「判断は意識調査が出そろってから。分析して、少なくとも11月以降」と述べていましたが、追加の補足調査も11月7日まで実施されており、最終的な判断は11月中から12月にかけてとなる見通しです。

新潟県は24日から11月7日まで追加の県民意識調査を実施すると発表しており、原発から30キロメートル圏内の9市町村に居住する8,344人を対象にインターネットでの調査を行っています。花角知事氏はこの補足調査の結果も自身の判断に生かす考えを示しています。

東電と政府の思惑に逆風


柏崎刈羽原発は東日本大震災の翌2012年に6号機が停止して以降、7基全てが停止状態にあります。東電は経営再建の切り札として再稼働を急いでおり、政府もエネルギー政策の観点から再稼働を後押ししています。

東電の稲垣武之所長氏は7号機について「再稼働決定から運転開始には2カ月程度を要する」との見解を示していますが、7号機はテロ対策施設の工事が遅れている影響で、施設の設置期限を迎える10月13日を過ぎると当面稼働ができなくなる状況にあります。

現在は6号機の再稼働に焦点が絞られていますが、今回の調査結果は東電と政府にとって厳しい内容となりました。地元住民の理解なしに再稼働を進めることの困難さが改めて浮き彫りになっています。

東電は2024年9月に青森県むつ市の中間貯蔵施設に柏崎刈羽原発の使用済み核燃料69体を搬入しており、再稼働に向けた環境整備を進めています。しかし、使用済み核燃料の最終処分場問題は解決されておらず、住民の不安材料となっています。

県民投票条例案は否決


住民の直接的な意思表示を求める動きもありました。2025年3月には市民団体「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」が14万3,196筆の署名を集めて県民投票条例の制定を求めましたが、新潟県議会は4月にこれを否決しています。

自民党などの反対多数による否決でしたが、14万人を超える署名が集まったことは県民の関心の高さと意見の分かれを象徴しています。県民投票が実現していれば、より明確な民意が示されていた可能性もあります。

今回の調査結果は、県民投票を求めた住民の声が一定の正当性を持っていたことを裏付ける内容ともいえます。特に原発に近い地域の住民が抱く不安と慎重論は、単純に賛成・反対で割り切れない複雑な感情を反映しています。

花角知事氏は「できるだけ県民の分断を起こさないように、なるべく収まるところに収まるようにしたい」と述べていますが、今回の調査結果は判断の困難さを一層際立たせる結果となりました。全国的に注目される柏崎刈羽原発の再稼働問題は、住民の安全への懸念と国のエネルギー政策の狭間で重大な局面を迎えています。

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2025-11-06 16:01:50(くじら)

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