2025-10-29 コメント: 1件 ▼
公約花角知事の柏崎刈羽原発再稼働判断11月8日以降、補足調査結果踏まえ
新潟県の花角英世知事は2025年10月29日の定例記者会見で、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非について、「補足調査の結果も見たいと思う」と述べました。 花角知事は同日、東電が技術的準備を完了したことについて「安全第一で進めてもらいたい」と述べるにとどまり、再稼働判断とは切り離す姿勢を示しています。
県民意識調査で浮かぶ慎重論
新潟県が9月に実施した県民意識調査の中間報告では、「再稼働の条件は現状で整っている」という問いに対し、同意した人は37%(「どちらかといえば」を含む)にとどまり、同意しない人が60%を占めました。県民の過半数が再稼働に向けた環境が十分でないと判断していることが明らかになったのです。この数字を背景に、県はより正確な地元の意向把握を目指して補足調査の実施を決めました。
補足調査は、インターネット上で10月24日から実施されており、原発から30キロメートル圏内にある長岡市、柏崎市、小千谷市、十日町市、見附市、燕市、上越市、出雲崎町、刈羽村の9市町村に住む8344人が対象です。これまでの調査で自民党県議から「人口比に合っていない」との指摘があったため、今回は各市町村の人口比に応じた配分にしたといいます。
「安全なら早く動かして」
「原発の安全性は絶対ではない」
「福島のようなことが起きたら、新潟も終わり」
「情報が不足している」
「県民投票で決めるべき」
東電の技術的準備が完了
こうした中、東京電力は10月28日、柏崎刈羽原発6号機で進めていた設備の健全性確認が完了したと発表しました。同原発の再稼働に向けた技術的な準備が整ったことになります。6号機は6月下旬に核燃料の装荷を完了してから、4か月近くにわたる検査を実施してきました。
花角知事は同日、東電が技術的準備を完了したことについて「安全第一で進めてもらいたい」と述べるにとどまり、再稼働判断とは切り離す姿勢を示しています。技術的な安全対策と、地域の住民や自治体の同意は別の問題だとの立場が明確です。
県民世論の分断
現在、新潟県内では再稼働の是非をめぐる県民世論が分断しています。県内の市民団体が集めた「柏崎刈羽原発再稼働の是非を県民投票で決める会」による県民投票条例制定署名は、2025年1月時点で14万3000筆を超えました。法定必要数の約3万6000筆の4倍近くに達しており、県民の間に直接民主主義で判断を求める強い声があることが示されています。
一方で、柏崎市と刈羽村の両議会、および新潟県議会の自民・公明両会派は早期再稼働を求める立場を示しており、経済効果やエネルギー安全保障を重視する立場との対立が続いています。県議会では10月16日、再稼働を支持する決議案が可決されましたが、市民団体からは反発する声が上がっています。
判断先送りの背景と課題
花角知事は2022年の当選時、「原発再稼働については県民の意思を問う」と公約を掲げてきました。そのため、市町村長との意見交換(8月完了)、県民公聴会(8月31日完了)、県民意識調査(10月末報告予定)という3つの手続きを順序立てて進めてきたのです。
11月8日以降の判断では、補足調査の結果のほか、県民投票条例の直接請求書が県議会に提出される見通しも相まって、知事の決定は高度に政治的な局面を迎えることになります。再稼働を容認すれば県民投票条例の審議という新たな手続きが生じる可能性もあり、判断の重さを知事も認識していると考えられます。
6号機は2012年3月の停止以来、約13年にわたって運転を停止しています。長期停止に伴う設備の劣化や不測の不具合の可能性も、完全には排除できません。原子力規制委員会の審査には2020年に合格していますが、安全の最終確認は地元同意の後に本格化することになります。
東電は技術的準備の完了を発表する一方で、7号機のテロ対策施設の完成時期を2025年3月から2029年8月に延期することを表明するなど、課題も山積しています。再稼働判断が単なる技術問題ではなく、安全・安心、経済、民主主義のあり方という複雑な要素を含んでいることが、判断の遅れにつながっているのです。
県は補足調査結果を「速やかに」とりまとめるとしており、花角知事の判断は遅くとも11月中旬から下旬の時点で示される見通しです。この判断が新潟県のみならず、日本の原発政策全体に与える影響は大きいものになるでしょう。
この投稿は花角英世の公約「原発は県民の安全最優先で、3つの検証をしっかり進めます。」に関連する活動情報です。この公約は点の得点で、公約偏差値、達成率は0%と評価されています。