2025-06-27 コメント投稿する ▼
政府、沖縄・与那国島に避難用シェルター整備へ 台湾有事に備え2028年春工事完了
台湾有事に備える国家防衛の最前線
政府、沖縄・与那国島にシェルター整備 2028年春に工事完了予定
最西端の島に「現実的な防衛拠点」
政府は6月27日、台湾有事や武力攻撃事態を想定した住民避難用シェルターの整備計画を正式に公表した。対象となるのは、沖縄県の先島諸島に位置する5つの市町村で、その中でも台湾に最も近い与那国町では、2028年春の完成を目指して工事が進められる。
与那国島は台湾までわずか約110キロという位置関係にあり、地政学的に極めて重要な地点だ。新たに建設される複合庁舎の地下を「特定臨時避難施設」として活用し、200人程度の収容能力を持つ避難シェルターを整備する計画である。総面積は約2200平方メートルに及び、キッチン、トイレ、シャワーなどの生活機能も完備される予定だ。
「これがようやく“防衛”というものだ」
「敵基地攻撃だけじゃない、住民を守る準備こそ現実的」
「遅すぎるくらいだが、やらないよりはマシ」
「沖縄の人々だけにリスクと負担を押し付けてるのでは?」
「備えあれば憂いなし、もっと全国で議論すべき」
他の先島地域でも順次整備へ
与那国島に続き、宮古島市では2024年冬ごろに工事が開始される見通し。竹富町、石垣市、多良間村でも2026年度以降に工事を本格化させる計画だ。これらはすべて、昨年3月に政府が発表した「特定臨時避難施設に関する基本方針と技術ガイドライン」に基づいて進められており、自治体が国の財政支援を受けて公共施設の地下空間を有効活用する形で整備される。
ガイドラインでは、これらのシェルターは弾道ミサイル攻撃や敵の着上陸侵攻を想定し、2週間程度の生活に耐えうる設計とすることが求められている。想定されるのは都市機能の停止やインフラ破壊などの最悪事態であり、電力・水道・通信の独立運用が可能なライフライン確保も計画に盛り込まれている。
台湾有事を現実視する日本の危機管理
政府のこの動きは、近年の中国の軍事的圧力強化と台湾情勢の緊迫化を背景に加速している。中国軍による台湾海峡周辺での演習、航空機の領空侵犯スレスレの行動、さらには民間通信網へのサイバー攻撃といった事案が頻発するなか、日本にとって「台湾有事=日本有事」の現実味が急速に高まっている。
特に先島諸島は、台湾・中国本土・日本本土を結ぶ軍事・経済上の要衝に位置しており、万が一の際には日本の防衛ラインの第一線となることは明らかだ。それだけに、政府としても「国民保護」の観点から現地住民の避難体制を確保する必要性が極めて高い。
国防と国民保護の両立が問われる
ただし、今回のシェルター整備に対しては、「沖縄だけにリスクと費用負担を集中させていないか」「本土の備えはどうなっているのか」といった疑問の声も上がっている。また、住民の中には「軍事目標になるのではないか」と不安を口にする人もおり、政府は単なるインフラ整備にとどまらず、避難訓練や周知活動などソフト面の強化にも取り組む必要がある。
そもそも日本にはスイスやイスラエルのように、全人口をカバーできる地下避難施設の整備計画は存在しない。憲法の制約を盾に長らく後回しにされてきた「国民保護」政策が、ようやく現実的なステージに踏み出したともいえる。
その意味で今回の先島諸島でのシェルター整備は、日本の安全保障政策において「攻め」よりも「守り」にも目を向けた転換点となる可能性がある。防衛装備品の購入や敵基地攻撃能力の整備だけでなく、国民一人ひとりをどう守るかという視点は、今後の政策議論でも中核に据えるべきである。