石垣市議が投稿した「具材なし給食写真」が大炎上　SNSの発信が招いた深刻な現場の混乱

石垣市議の「具なし給食」投稿が物議　視察目的の投稿が波紋拡大

沖縄県石垣市で、自民党所属の高良宗矩市議が自身のSNSに投稿した「配膳途中の給食写真」が思わぬ騒動を呼んでいる。問題の写真は、13日に市内の小学校で撮影されたもので、豚汁に具材が見られず、牛乳も配膳されていない状態の給食が写っていた。この投稿は、X（旧Twitter）などで爆発的に拡散され、閲覧数は1500万回を超えた。

だが、その内容について「誤解を招く」「給食関係者への侮辱だ」との批判が噴出。給食現場の職員の中には、投稿に深く傷つき涙を流す者もいたという。高良市議は後に投稿を削除し謝罪したが、投稿の意図や真意をめぐり、議会や市民の間で議論が続いている。

「不正確とは思わない」　市議の説明がさらに波紋

高良市議は、投稿の目的について「市民に議会活動への関心を持ってもらいたかった」と語ったが、写真の内容が事実を正確に伝えていたかについては、「不正確という認識はない」と強調。「他のクラスでも具材が少なかった」との証言を根拠に、意図的な印象操作ではないと主張した。

しかし、この主張には疑問の声も多い。市の給食センターによると、高良市議が撮影した時点では配膳が途中で、牛乳や一部の具材はその後に配られたとの説明があった。つまり、写真は給食の全体像を示したものではなかったというわけだ。

「未完成の状態で撮って『これが実態』って言うのは不誠実すぎる」
「議員が現場の人の気持ちを考えずに発信してる時点で終わってる」
「牛乳がまだ出てないって知ってたら、普通アップしない」
「悪意ある切り取りだよ。謝って済む話じゃない」
「視察の名を借りた炎上商法だろ」

現場は「愚弄された」と憤慨　給食従事者に広がる怒りと悲しみ

実際の現場からは、怒りと落胆の声が上がっている。市の給食関係者は、「まるで手抜きや怠慢と受け取られかねない内容だ。現場を知らずに拡散されたことが悔しい」と語る。関係者の中には、ネット上での誹謗中傷や心ないコメントを見て精神的に落ち込んだ職員もいたという。

石垣市の学校給食は、地域の栄養士や調理師たちが限られた予算と人員で日々工夫を重ねながら提供しており、栄養バランスや地元食材を意識したメニューが基本だ。13日のメニューも「ごはん、きのこ入り豚汁、いわしのおかか煮、牛乳」という内容で、決して質素ではない。

しかし、市議が「視察」として撮影した不完全な一瞬の写真がSNSで独り歩きし、誤解を招いた格好となった。

議会対応と今後の教訓　発信の責任が問われる時代

16日には市議会で、野党側から「市民への説明責任を求める決議」が提案された。だが高良氏が翌17日の一般質問で一連の経緯を説明・謝罪すると表明したことを受け、決議案は一時的に取り下げられた。

今回の件は、政治家がSNSを使って発信する際の「情報の正確性」や「配慮のなさ」が、どれほど現場に影響を及ぼすかを示した典型例だ。しかも、それが教育現場や子どもたちの食に関わることであれば、なおさら慎重であるべきだった。

SNSでの情報発信は、議員活動の透明性や市民との対話という観点で重要である一方、使い方を誤れば無用な混乱や傷つく人々を生むリスクがある。今回はまさにその悪例となった。

本来であれば、議会での質疑を通じて改善策を探ることが建設的なアプローチであるはずだ。現場への理解を欠いたままの「話題づくり」では、信頼を失うだけでなく、地域全体の分断をもたらしかねない。

今回の騒動が、議員に限らず発信者すべてが「何を、どのように」伝えるかを再考するきっかけになることが求められる。