2025-08-13 コメント投稿する ▼
名古屋市議団の南京市訪問が延期 河村氏発言後の交流再開は再び停滞
名古屋市と南京市の交流再開に向けた動きが再び停滞
名古屋市と中国・南京市は昭和56年に友好都市提携を結び、長年にわたり経済・文化・青少年交流など幅広い分野で協力関係を築いてきた。しかし、平成24年に河村たかし市長(当時)が「南京事件」を否定する発言を行ったことをきっかけに、公的な交流は事実上停止状態となった。この発言は南京市側に強い反発を招き、以後、公式な訪問や文化事業は中断されている。
今回、超党派の議員連盟に所属する名古屋市議らが南京市訪問を計画し、交流再開の糸口を探る動きが出ていた。広沢一郎市長もこの計画を後押しし、親書を託して今月下旬に南京市へ届ける予定だった。しかし、中国側から訪問の延期要請があり、計画は中止となった。延期理由として「新市長の就任時期が未定」という説明があったが、それ以上の具体的理由は明らかにされていない。
「また延期か…このままじゃ再開のタイミングを永遠に逃す」
「名古屋市も南京市も市民同士は仲良くやれるのに、政治が邪魔してる」
「中国側の事情だけでなく、日本側ももう一歩踏み込むべき」
背景にある歴史認識の壁
南京事件を巡る歴史認識は、日中間の政治関係や地方都市交流にも影を落とし続けている。南京市は中国国内で歴史教育や平和記念活動の象徴的都市とされ、南京事件はその中核的な歴史事象だ。そのため、日本の地方自治体トップによる否定的発言は、現地で感情的な反発を引き起こす。
河村氏の発言以降、南京市は名古屋市との公式会談や共同事業を見合わせ、民間レベルでも交流は縮小傾向にある。今回の訪問延期も、表向きは新市長就任の時期を理由としているが、背景にはこうした歴史的経緯が影響しているとみられる。
「歴史認識が一致しない限り、表面的な交流は意味がない」
「市民の感情を考えれば、簡単に交流再開はできない」
地方外交の難しさと市民感情
地方自治体同士の交流は、国家間外交の影響を受けやすい。特に日中関係は歴史認識問題や安全保障問題で度々緊張し、地方レベルの計画も左右されてきた。市議団は「交流は政治と切り離して考えるべき」との立場だが、相手側が政治的背景を無視できない場合、議論は平行線をたどる。
市民からは「経済や文化交流を通じて信頼を積み重ねるべき」という意見もあれば、「歴史をあいまいにしたままの交流は逆効果」という慎重論も根強い。今回の延期で、交流再開に向けたムードが再び冷え込む懸念がある。
「市民レベルの交流をもっと増やせば、政治も変わるはず」
「まずはオンラインでいいから話し合いを再開してほしい」
今後の見通しと課題
今回の延期によって、広沢市長が用意した親書はしばらく南京市に渡らない可能性が高い。名古屋市側は「時期を見て再調整する」としているが、再開時期は未定だ。南京市の新市長が就任すれば、改めて訪問の可能性は出てくるが、実現には相互の信頼回復が不可欠である。
交流再開には、過去の発言や歴史認識をどう扱うかという難題が避けられない。市民感情を踏まえつつ、互いに歩み寄れる現実的な方法を模索することが、地方外交の課題として浮かび上がっている。