2025-07-02 コメント投稿する ▼
神奈川県が中国など外国人妊産婦支援に本腰 助産師向け多文化対応講座を8月開催
神奈川県が中国など外国ルーツの妊産婦支援へ 黒岩知事の下で多文化対応に本腰
神奈川県は、外国にルーツを持つ妊産婦への支援を強化する取り組みを始める。黒岩祐治知事のもと、県は2025年8月29日、助産師や保健師らを対象に「多文化対応力向上講座」を開催する。特に、中国などの文化背景を持つ妊産婦を中心に、医療現場での対応力を高めるのが目的だ。
「文化の違い」に寄り添う支援体制を強化
今回の講座は、公益財団法人かながわ国際交流財団の主催で行われ、定員は30名。対象は神奈川県内で勤務する助産師・保健師、そして希望する看護師も参加できる。オンライン(Zoom)での無料開催となる。
講座の中心テーマは以下の通り。
* 異なる文化背景を持つ妊産婦支援の基本
* 中国出身の妊婦に対する理解と対応方法
* 「こうしなければならない」といった社会的・家族的プレッシャーが妊婦に与える影響
医療の場で無意識の偏見や文化的なズレがトラブルにつながることも少なくない。特に中国をはじめとするアジア圏では、出産や育児に関する価値観や習慣が日本と大きく異なる場合があり、現場の医療従事者がこうした違いを理解し、柔軟に対応できる力が求められている。
実務経験豊富な講師陣が登壇
講師には、川崎市立看護大学の教員、多言語支援センターかながわの中国語スタッフ、さらにはMICかながわの中国語医療通訳が登壇。特に看護大学の講師は、JICA青年海外協力隊員として母子保健の現場を経験し、帰国後も外国人母子へのボランティア活動に取り組んでいる人物だ。
医療通訳や現場経験者の視点から、文化的な背景に配慮した具体的なコミュニケーション方法などが紹介される予定だ。
外国ルーツの妊産婦が安心できる医療環境づくりへ
神奈川県は、多文化共生に早くから取り組んできた自治体の一つ。川崎市や横浜市を中心に、外国人住民の増加が続く中で、医療や福祉の現場でも制度的な対応力が問われている。今回の講座はその一環であり、「違いを理解する」から「違いに寄り添う」支援へのステップアップを目指すものだ。
安心して出産・子育てができる環境は、文化的な理解と医療的支援の両輪で成り立つ。神奈川県のこの取り組みが、全国の自治体にも広がっていくことが期待される。