2025-08-11 コメント投稿する ▼
国会は効率より伝統優先?安野貴博議員が投票30分・PC禁止を問題視、「品位」論にも一石
国会の“品位”と効率化のはざまで 安野貴博議員が投票30分・PC持ち込み禁止を問題視
夏の参院選を経て召集された臨時国会。その初日、本会議中に居眠りをしていたと指摘された日本保守党の百田尚樹参院議員の姿がSNS上で拡散し、波紋を広げた。百田氏は「248人分の投票と集計に長時間を費やし、これで眠くならない人がいたら教えてほしい」と反論。議場での長時間拘束が議員の集中力やパフォーマンスに影響する現実が、改めて議論の俎上に上った。
初当選した「チームみらい」党首の安野貴博参院議員も、この問題に共感を示す一人だ。元スタートアップ経営者でAIエンジニアでもある安野氏は、「時間が非常に貴重な人たちを拘束している」と述べ、議会運営の非効率性を疑問視した。特に本会議での議長・副議長選出投票を例に、「パソコンもスマホも持ち込めない環境で、周囲はただ黙って“精神統一”。この時間を利害調整や合意形成に充てられれば、生産性は上がる」と語った。
「投票1回で約25分。国会議員の歳費換算で1回100万円、正副議長合わせて200万円。これが現状のコストだ」
「議場の二酸化炭素濃度を測れば、眠気の原因が分かるかもしれない」
「パソコンを持ち込めない会議なんて、ビジネスの現場では考えられない」
“品位”という名のドレスコード
国会議員は「議院の品位を重んじなければならない」と規則で定められている。過去には、山本太郎議員が喪服姿で安倍晋三当時総理に焼香のしぐさを見せた件や、櫛渕万里議員らが本会議採決時に「与党も野党も茶番」と叫んだ件が、「品位欠如」として注意を受けた事例もある。
ジャーナリストの武田一顕氏は「クールビズが定着しても本会議では上着必須。半袖シャツの方が効率的だが、石破政権の閣僚はいまも上着とネクタイを着用している。そこに格好良さや威厳を見ている人もいる」と指摘する。議場の雰囲気や服装規定は、効率よりも伝統や象徴性が重視されてきた。
「形式ばかり守って中身が伴わないのは時代遅れ」
「儀式は必要だが効率も追求すべき」
「服装より議論の中身を見直してほしい」
「石破内閣も例外なく上着着用だが、時代に合っているのか」
「品位の定義をアップデートする時期だ」
テクノロジーが変える政治
安野氏は「いままでの政治家はテクノロジーを軸にした施策をほとんど行ってこなかった」と指摘。クラウド会計サービスのような仕組みを政治資金管理に導入し、出所や使途をリアルタイムで公開できるシステムの必要性を説く。台湾のオードリー・タン氏がデジタル行政を進めた事例を挙げ、日本も参考にすべきだと語った。
本会議場へのPCやタブレット持ち込み解禁は、その第一歩だという。「そこから『合理的に見直せる部分』と『伝統として残す部分』の議論が始まる。セレモニーには意味があるが、時間の使い方は変えられる」と強調する。FAXの使用もセキュリティ上のリスクを伴うため、より安全で効率的な通信手段への移行を提案した。
国会改革は可能か
国会の“品位”を守ることと、効率化による生産性向上は必ずしも相反しない。だが現実には、伝統と形式を優先する空気が改革の速度を鈍らせてきた。安野氏の提案は、議場のあり方を問うだけでなく、国会が国民の税金に見合う働きをしているのかという根源的な問いを投げかけている。
臨時国会の冒頭から浮かび上がったこのテーマは、石破政権下での国会運営改革の試金石となる可能性がある。セレモニーと効率のバランスをどう取るか――その議論は、いま始まったばかりだ。