2025-07-15 コメント: 1件 ▼
攻撃型政治に異議 “テクノロジーと対話”で挑む34歳代表・安野貴博氏の新しい選挙戦略
若者が主導する「チームみらい」 対立より対話を選ぶ政党
7月20日に投開票を迎える参議院選挙。比例代表に出馬している政治団体「チームみらい」の代表・安野貴博氏(34)は15日、JR品川駅前で演説に立ち、従来の政治スタイルへの異議を強く訴えた。
「敵をつくって票を取るやり方は間違っている」。安野氏はそう断言し、「誰かを貶めて票を得るのではなく、合意形成を目指す姿勢こそ政治に必要だ」と語る。これまでの選挙戦とは一線を画す姿勢に、街頭に集まった聴衆は熱心に耳を傾けていた。
安野氏は、昨年の東京都知事選に無所属で出馬し、無名ながら15万票超を獲得。その実績を背景に、今年5月に新たな政治団体「チームみらい」を結成し、今回の参院選には15人の候補者を擁立した。平均年齢は35歳。現職議員の高齢化が進む中、彼らの登場は、若い世代にとって新たな希望と受け止められている。
「敵を作れ」と言われても──政治評論家とのやり取り
安野氏の選挙スタイルは、周囲からも異質に映っている。ある政治評論家からは、「そんなやり方では票は取れない。もっと敵を作れ。相手の悪口を言って攻撃しろ」と助言を受けたという。しかし安野氏はこの言葉に真っ向から反論。「それは間違っている」とし、有権者には「誰が本当に必要な存在かを見抜く力がある」と信じると訴えた。
SNSでもその姿勢には共感の声が寄せられている。
「悪口合戦に疲れたから、こういう人に一票入れたい」
「政策で勝負する政治家が増えれば、投票率も変わると思う」
「批判じゃなくて提案ベースの演説、久しぶりに聞いた」
「若いのに落ち着いた語り口で信頼感ある」
「敵を作らない政治、ようやく出てきた」
可処分所得増・出生数減税 実現可能な政策を提示
演説では、「チームみらい」が掲げる具体的な政策も紹介された。ポイントは次の3つだ。
1. 可処分所得を増やすため、社会保険料の減額
2. スタートアップや研究開発を後押しするイノベーション促進策
3. 出生数に応じた所得税の定率減税という、実効性ある少子化対策
これらは「未来志向」の具体策として、政策ベースの議論を求める安野氏の姿勢を象徴している。特に「出生数に連動した減税」は、単なるばらまき型の給付金とは異なり、構造的な支援策として注目を集めている。
「ブロードリスニング」で政治参加を可視化
安野氏の特徴は、テクノロジーの活用にもある。昨年の都知事選では、有権者の声をAIで分析する「ブロードリスニング」という手法を導入。この動きは政界でも注目され始めており、複数の政党が関心を示しているという。
「旧態依然とした市場でも、スタートアップがひとつ変化を起こせば業界全体が変わる。政治も同じだと思う」。演説後の記者団へのコメントでは、こう語り、政界に新風を吹き込む意欲を見せた。
「多党制で合意形成を」 二大政党制に一石
また安野氏は、今後の政界の構図についても「二大政党制」から、欧州型の「多党制」への移行を見越していると語った。「代表者が多様化すれば、物事を決めるスピードは落ちるかもしれないが、より納得のいく合意が形成できる社会になる」として、多様な声を反映する政治の必要性を説いた。
これまでの政治は「敵か味方か」の二項対立で語られがちだった。だが、安野氏はその構図そのものにメスを入れ、世代もアプローチも異なる視点から政治に挑んでいる。34歳のエンジニア出身の政治家が目指すのは、分断ではなく融合、攻撃ではなく対話、そして混沌ではなく透明性のある未来だ。