2025-10-17 コメント投稿する ▼
安野貴博が維新の「議員定数削減」に異論 「多様な人の政治参加が難しくなる」警鐘鳴らす
政治団体「チームみらい」代表の安野貴博氏(34)が、日本維新の会と自民党の連立協議で焦点となっている「議員定数削減」に異論を唱えた。 特に自身のように、政治経験が浅く新しいタイプの政治家を志す人にとって、「議員定数削減」は明確な障壁になると語った。 「ただでさえ新陳代謝が悪いと言われている日本の政治で、さらに入口を狭めてしまえば、政治が硬直化する」と懸念を表明した。
安野貴博氏、維新の定数削減案に「異論」 ―「多様な人が国会に入るハードルが上がる」
政治団体「チームみらい」代表の安野貴博氏(34)が、日本維新の会と自民党の連立協議で焦点となっている「議員定数削減」に異論を唱えた。
10月17日放送のABEMA報道番組「Abema Prime」にリモート出演し、冷静かつ論理的にその問題点を指摘した。
「弱小政党」発言にも冷静な応答
番組では、MCのぺこぱ松陰寺太勇氏が「定数削減になると、弱小政党は壊滅的なダメージを受けるのでは」と問いかけた。
これに対し安野氏は、「ある意味、我々も影響を受ける当事者ではございます」と認めつつも、「『弱小』という言葉は好きではない。小さな政党かどうかではなく、制度全体にどれだけのインパクトがあるかを冷静に見る必要がある」と語った。
さらに彼は、定数削減による財政的効果についても冷ややかだ。
「議員を減らしたからといって国家予算が劇的に浮くわけではない」と指摘し、「象徴的なパフォーマンスにすぎない」との見方を示した。
「日本の国会議員はすでに少ない」OECD比較データを提示
安野氏は、OECD加盟38カ国中、日本の国会議員数が人口比で36位と非常に少ないことをデータで紹介した。
「日本はすでに“議員数が少ない国”に入る。ここからさらに減らせば、多様な人が国政に参加するハードルが確実に上がる」と指摘した。
特に自身のように、政治経験が浅く新しいタイプの政治家を志す人にとって、「議員定数削減」は明確な障壁になると語った。
「ただでさえ新陳代謝が悪いと言われている日本の政治で、さらに入口を狭めてしまえば、政治が硬直化する」と懸念を表明した。
SNSでも賛同と共感が拡散
安野氏のコメントは番組放送直後からSNSで拡散され、多くの視聴者から共感を集めた。
「数字を減らすより“声を増やす”方が改革だ」
「弱小じゃなくて“新しい声”を拾う人たちだと思う」
「OECD比較の話、もっと知られるべき」
「議員定数削減はポピュリズムの最たる例」
「こういう冷静な議論をテレビで聞けたのは久々」
政治的立場を超えて、“理屈で語る政治家”としての安野氏の発言が支持された形だ。
維新の連立条件と「数の政治」への懸念
一方、日本維新の会は「議員定数削減」以外にも、「企業団体献金の廃止」「社会保険料引き下げ」「副首都構想」「食品減税2年間ゼロ」など、複数の条件を自民党に提示している。
だが、自民党側はこれらを「総合的に検討」と述べるに留め、明確な合意には至っていない。
政治評論家の間では、「維新が掲げる“身を切る改革”が、いつの間にか“声を切る改革”になりつつある」との批判もある。
特に比例代表の議席が減れば、少数政党や新興勢力が国政に進出する道は一気に狭まる。
この構造こそ、安野氏が警鐘を鳴らす「多様性の縮小」に直結する問題だ。
記者の視点:民主主義の“入口”を塞ぐ危険
安野氏の発言は、単なる制度批判ではない。
「政治家の質を上げる」という議論がしばしば使われるが、質を問う前に入口を狭めてしまえば、そもそも多様な人材が集まらない。
それは、民主主義の“呼吸”を止めることに等しい。
議員定数削減は一見わかりやすいスローガンだが、削るほど政治が遠のく現実がある。地方の声、少数派の声、マイノリティの声──それらをすくい上げる場が国会であるならば、定数削減は「小さな声の消滅」を意味する。
安野氏が言う「議論が必要」という言葉は、慎重論ではなく、民主主義の根を守るための警告だ。改革を叫ぶことよりも、何を守るべきかを考えること。今、日本の政治が問われているのは、その“順番”なのかもしれない。