2025-09-18 コメント投稿する ▼
多子世帯の大学無償化 吉良よし子が制度の穴を追及し対象拡大へ
2024年度からは、**3人以上の子どもを扶養する多子世帯**を対象に、入学金や授業料の無償化が拡大されました。 本来は家計を支える保護者の税情報をもとに判定されますが、制度の細部に想定不足があり、支援を受けられるはずの世帯が漏れていました。
多子世帯向け大学無償化制度の概要
日本では2020年から「高等教育の修学支援新制度」が導入され、低所得世帯の学生を対象に授業料免除や給付型奨学金が行われてきました。さらに2024年度からは、3人以上の子どもを扶養する多子世帯を対象に、入学金や授業料の無償化が拡大されました。本来は家計を支える保護者の税情報をもとに判定されますが、制度の細部に想定不足があり、支援を受けられるはずの世帯が漏れていました。
具体的には、直近の住民税情報に基づいて扶養状況が確認されます。しかし扶養者が死別や離婚、あるいは配偶者の暴力からの避難といった事態で扶養関係が書類上確認できなくなると、実際には3人以上の子を養っていても対象外とされる問題がありました。この不備に対して、支援を受けられなかった学生や保護者から多くの声が上がっていました。
対象範囲の拡大と通知
2025年9月、日本学生支援機構は対象範囲の拡大を決定し、全国の大学に通知しました。これにより、2024年以降に死別・離婚・避難などで扶養状況が変わった世帯も、公的証明書類があれば新たに支援対象とされます。支援は2025年4月分にさかのぼって適用されることが明らかになりました。
この修正で、支援を受けるべき多子世帯が制度から排除される事態は一定程度改善されます。ただし今回の措置の対象は2025年3月末までに扶養状況が変化した世帯に限られるため、それ以降に同様の事情を抱えた世帯は依然として除外されています。
「死別や離婚で子を育て続けても制度から外れるのはおかしい」
「3人以上の子がいること自体は変わらないのに支援を失うのは理不尽」
「扶養関係が書類上確認できないだけで排除されるのは制度の欠陥だ」
「退学の危機に直面する学生を生まないよう制度を直せ」
「穴を残したままでは支援制度の信頼性が揺らぐ」
これらの声は、現場の切実な実態を反映しています。
吉良よし子参議院議員の指摘
日本共産党の吉良よし子参議院議員は2025年9月18日の聞き取りで、文部科学省から説明を受けました。同省担当者は「子どもが増える場合は想定していたが、扶養状況が保護者の事情で変わるケースを想定していなかった」と釈明しました。実際、制度から除外されたことについての問い合わせは文科省に約400件寄せられています。
吉良議員は「本来支援を受けられるはずの人が対象から外れ、退学に追い込まれることはあってはならない。制度の穴をふさぎ、対象拡大の事実を広く周知すべきだ」と強く求めました。今回の見直しは、議員の追及と当事者の声が制度を動かした形です。
今後の課題と展望
今回の通知で一部の世帯は救済されましたが、制度の穴は完全には塞がれていません。例えば2025年4月以降に扶養者が急逝した場合などは、依然として対象外です。扶養状況の確認を税情報だけに依存する仕組みそのものに限界があるといえます。
また、扶養状況を証明するために必要な書類手続きは複雑であり、被害者保護や緊急避難といった事情を抱える世帯に過大な負担となる懸念があります。多子世帯支援を本当に機能させるには、柔軟な運用と迅速な周知が不可欠です。
令和7年度(2025年度)からは、多子世帯であれば所得にかかわらず大学無償化が適用される予定です。しかし、制度の実効性を高めるには、今回指摘された「制度の穴」を埋める追加的な見直しが必要だといえます。教育の機会均等を守るためには、対象の拡大だけでなく、制度設計そのものを検証し続けることが求められています。