2025-09-12 コメント投稿する ▼
リニア中央新幹線地下工事で説明不足浮上 JR東海の対応に住民不信拡大
リニア中央新幹線の建設は、日本の交通インフラの将来を担う国家プロジェクトとされる一方、現場レベルでは説明不足や安全性への懸念が募っている。参加者からは、JR東海が当初「1日20メートル程度」としていた掘進速度が実際には「1日2メートル程度」にとどまっている点に疑問が呈された。
リニア地下工事をめぐる説明不足が浮き彫りに
リニア中央新幹線の建設を巡り、東京都品川区の北品川工区で進められている地下トンネル工事について、日本共産党の吉良よし子議員と山添拓議員が12日、国土交通省から説明を受けた。地元区議団や沿線住民も同席したが、参加者からは「住民への説明が不十分だ」との不満が相次いだ。
国交省の担当者は、8月25日に本格的な掘削作業を開始したと説明。調査掘進での約270メートルと合わせ、9月4日時点で計294メートルを掘り進んだと明らかにした。
「工事速度が当初の説明と違う。何か隠しているのでは」
「説明会が一部住民だけ対象では意味がない」
「酸欠気泡の問題を軽視してはいけない」
「JRは責任を持って直接説明に出てくるべきだ」
「リニア推進ありきの姿勢は住民軽視だ」
掘進速度の遅れと住民の不信感
参加者からは、JR東海が当初「1日20メートル程度」としていた掘進速度が実際には「1日2メートル程度」にとどまっている点に疑問が呈された。「トラブルが起きているのではないか。住民に要因を説明するべきだ」との声が上がり、本格掘進の開始自体が住民に知らされていなかったことも問題視された。
こうした懸念は、工事の安全性や周辺環境への影響が十分に検証されているのかという不信感につながっている。国交省担当者が「オープンハウス型説明会を開いている」と述べたのに対し、住民側は「対象が限定されており、沿線住民全体を対象にした説明会を開くべきだ」と強調した。
安全性への懸念と酸欠気泡の問題
さらに参加者からは、町田市内の別工区でトンネル工事に伴い酸欠状態の気泡が発生した事例が取り上げられた。「もし地下室に酸欠空気が流入すれば命に関わる」と指摘され、品川区も原因究明と措置を求めているにもかかわらず、JR東海からは明確な回答がないと批判が強まった。
リニア計画は環境や地域住民への影響に関して、これまでも水資源問題や地盤沈下の懸念が指摘されてきた。今回の事例は、住民の安全に直結する問題であるだけに、説明不足が不信感を増幅させている。
JR東海と国の対応が問われるリニア計画
リニア中央新幹線は総工費9兆円規模の国家的プロジェクトとされるが、その一方で地域社会への説明や安全対策が後回しになっているとの批判は根強い。住民が求めているのは「事後的な報告」ではなく「事前に十分な説明とリスク対応策を示すこと」である。
今回の聞き取りでは、国交省の担当者が「JR東海に要望を伝える」と述べるにとどまった。だが、住民からは「JR自身が責任を持って説明の場に立つべきだ」との強い要求が示された。今後の工事継続にあたり、国と事業者がどこまで住民との信頼関係を築けるかが、計画全体の進行にも影響を及ぼす可能性がある。
リニア工事説明不足と住民不安が広げる波紋
リニア中央新幹線の建設は、日本の交通インフラの将来を担う国家プロジェクトとされる一方、現場レベルでは説明不足や安全性への懸念が募っている。沿線住民の理解を得られなければ、計画そのものの正当性にも疑問符が付く。
今回の北品川工区の事例は、工事の進捗だけでなく、JR東海と国土交通省の対応が今後の住民の信頼回復に直結することを浮き彫りにした。リニア推進の前に、地元住民の命と暮らしを守る姿勢が問われている。