2025-05-26 コメント投稿する ▼
米価高騰の裏に農政の失策 家計と農家を直撃する“二重の危機”とは
米価高騰で生活と農業に深刻な影響 “食の安全保障”が問われる今
全国的にコメの価格が急上昇し、家庭の食卓と農業現場に深い影を落としている。現在、5キロあたりの米の小売価格はかつての2,000円台から、地域によっては4,000円を超える水準まで上がっている。家計を直撃する状況に、多くの家庭から悲鳴があがる一方で、生産の現場でも「作りたくても作れない」現実が広がっている。
家庭を直撃する“食卓インフレ”
かつて手軽に買えていた米が、今や贅沢品のような存在になりつつある。スーパーの棚に米が並んでも、「高すぎて買えない」と手が伸びない消費者が多い。とりわけ、子育て世代や低所得層の負担は大きく、親が子に「おかわりは我慢しよう」と声をかける姿は、今の米騒動の象徴とも言える。
背景には、気候変動による不作、円安による肥料価格の高騰、物流の混乱といった複数の要因がある。だが、それ以上に問題視されているのが、ここ十数年の農政の“方向性”だ。
生産者減少が引き起こす供給危機
農水省によると、過去10年間でおよそ46万戸の米農家が姿を消し、米の生産量は約135万トン減少した。この減少幅は、新潟県と北海道の年間生産量の合計に匹敵する。農地の減少、担い手不足、肥料や燃料のコスト増により、稲作はもはや利益の出ない産業になりつつある。作れば作るほど赤字になるとの声もあり、離農に拍車がかかっている。
かつて民主党政権下で導入された「所得補償制度」(10アールあたり15,000円)は、農家に一定の安定をもたらしたが、自民党政権で廃止された結果、毎年1,500億円近い農家収入が失われたとされる。こうした支援の後退も、生産基盤を崩壊させる一因となっている。
遅すぎた備蓄米放出 対応に疑問の声
政府がようやく備蓄米の放出を決めたのは、事態が深刻化してから半年以上が経った今年1月末。実際にスーパーなどの店頭に並び始めたのは3月末だった。すでに米価は高騰し、価格を抑えるには手遅れだったとの批判も多い。
しかも「市場が決めること」として、政府が価格調整に慎重だったことが混乱に拍車をかけた。昨年秋には都内の米屋からも在庫不足の声が上がっていたが、当時の農水省は問題を過小評価し、対応を見送った。米不足の兆候が出ていた時点で機動的に対応していれば、ここまでの混乱は避けられた可能性がある。
農政の転換が必要 “食料安保”への本気度が問われる
米の安定供給に向けて、今求められるのは、政府の「市場任せ」からの脱却である。価格安定のために備蓄米の戦略的放出を行うとともに、生産者支援を復活させる政策転換が不可欠だ。
農業を「自己責任」に押し込める政策では、食料自給率向上も夢物語に終わる。現行の農林水産予算は2.3兆円と、防衛予算の約4分の1に過ぎない。1980年には軍事費を上回る予算規模だったことを考えると、日本が“食の安全保障”にどれほど無関心になったかが分かる。
農業を基幹産業と位置づけ、持続可能な食料供給体制を構築するためにも、今こそ予算配分の見直しと支援策の抜本的強化が急がれる。
ネット上の声
「子どもにおかわり我慢させる時代になるとは思わなかった…」
「農家がいなくなったツケが回ってきてる」
「備蓄米出すの遅すぎ。政府は米を軽視しすぎでは?」
「もう米を買えない家庭もある。これが経済成長なの?」
「防衛費よりも食料を守ってくれって思うよ」