2025-04-15 コメント投稿する ▼
視覚障害者に優しい飲食店へ タッチパネル式食券機の改善求める声高まる|紙智子議員が要請
視覚障害者に優しい食環境の整備求める
参院農林水産委員会で、日本共産党の紙智子議員は15日、大手飲食チェーンなどで導入が進むタッチパネル式の食券販売機について、視覚障害者の利用が著しく困難になっている現状を指摘し、改善策を求めた。
紙氏は、視覚障害者が単独で飲食店に訪れた場合、タッチパネル機の場所が分からない上、画面表示も視認できず、注文が不可能な状況に直面していると指摘。また、セルフサービス形式の店舗では、料理の配膳や片付けも一層困難となる実態を紹介した。
これに対し江藤拓農林水産大臣は「企業には社会的な責任がある」と答弁。視覚障害者を含むすべての人が飲食サービスを平等に利用できる環境づくりの必要性を認めた。
障害者差別解消法の改正と民間事業者の義務
議論では、障害者差別解消法の改正内容にも触れられた。江浪武志内閣審議官は「2024年4月から、障害者から社会的障壁の除去を求める申し出があった場合、民間事業者に合理的配慮の提供が義務化された」と説明。農水省も対応指針を策定していることを明らかにした。
しかし紙氏は、農水省の策定した対応指針にはタッチパネル方式についての具体的な記載がないと指摘。障害者や高齢者が置き去りにされないよう、現場の従業員による直接対応や、タッチパネルに代わるサポート体制の整備を求めた。
農水省、成功事例集の作成を検討
これを受け江藤農水相は「高齢者や障害者の方が手軽に利用できる店舗事例を集め、成功事例集を作成したい。フードサービス協会にも協力を呼びかける」と応じた。今後、飲食業界全体に向けた周知・啓発活動を進める考えを示した。
社会的包摂をめざす飲食業界への期待
現在、大手牛丼チェーンやファストフード店では、効率化と人手不足対策を理由にタッチパネル方式の導入が加速している。一方で、視覚障害者や高齢者にとっては逆にバリアとなっているのが現実だ。
視覚障害者団体からも「従来の有人対応が残されていないと、利用そのものを断念せざるを得ない」といった声が上がっており、飲食業界には、障害の有無に関係なく誰もが利用できるユニバーサルデザインの導入や、人的サポート体制の強化が求められている。
国会での議論を受け、政府と民間事業者が連携し、誰もが食の楽しみを享受できる社会づくりに向けた取り組みが加速するか注目される。
- 紙智子議員がタッチパネル食券機の障害者対応を問題視。
- 障害者差別解消法改正で民間事業者に合理的配慮が義務化。
- 農水省は成功事例集作成とフードサービス協会への働きかけを表明。
- 飲食業界にユニバーサルデザイン対応や人的サポート体制の強化を求める声が高まる。