2025-03-12 コメント投稿する ▼
米不足と価格高騰、政府の対応に疑問 紙議員が農政転換を提案
■米価高騰が止まらず
米の価格が上がり続けている。今年2月、政府は備蓄米21万トンの放出を決めたものの、米の販売価格は過去最高の1俵(60kg)3952円(2月24日~3月2日)を記録。昨年同時期の約2倍となった。今年に入って9週連続で値上がりが続いており、消費者や外食産業にも影響が出ている。
■政府の需要予測にズレ?
紙議員は、政府の需要予測にも問題があると指摘。政府は2025年6月末までの1年間の米需要を、直前1年間(705万トン)より31万トン少なく見積もっている。しかし、実際には国民1人あたりの月間消費量は増加傾向にあり、2024年12月には前年同月比6.8%増、2025年1月には3.9%増となっている。こうした状況を踏まえれば、「政府の予測は実態と合っていないのではないか」と疑問を投げかけた。
■米の在庫はさらに減少か
民間の米在庫も大きく減っている。2024年1月には274万トンあったが、米不足が深刻化した8月には65万トンにまで減少。2025年1月時点では前年同月比で44万トン減少しており、このペースが続けば2025年6月には75万トン程度にとどまるとみられる。例年、民間在庫は7月から8月にかけてさらに減る傾向があるため、「今年の夏は昨年以上に米不足が深刻化し、米価がさらに高騰する可能性がある」と懸念が広がっている。
■農相「米不足のリスクはある」と認める
紙議員の指摘に対し、江藤拓農林水産相は「米不足のリスクはある」と認めた。しかし、紙議員は「そもそも生産が足りていない」として、減産政策を転換し、増産を促すよう求めた。
また、政府が流通を自由化し低価格を押しつけた結果、かつて1俵2万円を超えていた生産者米価が、地域によっては3分の1以下にまで下がり、農家は採算割れに陥っていると批判。米の需給を市場任せにしたことで、現在の米不足と価格高騰を招いたと強く訴えた。
■農業衰退の現状と「令和の百姓一揆」
この10年で、稲作農家は115万戸から69万戸へと約4割も減少。水田の作付面積は26万ヘクタール減り、生産量も135万トン減った。農家の所得は時給換算で100円以下という厳しい状況が続いている。
一方で、農業予算は減少の一途をたどっており、1980年には3兆5800億円あったのが、2025年度予算案では2兆2700億円に縮小。対照的に、防衛予算は2兆2300億円から8.7兆円に増え、農業予算を大きく上回るようになった。
こうした中、農家の間では「令和の百姓一揆」と称する運動が広がっており、政府に対し農業支援の拡充を求める声が高まっている。紙議員は「生産者が希望を持って農業を続けられるよう、予算を抜本的に増やすべきだ」と訴えた。
政府は、米の安定供給と価格の安定に向けて、具体的な対策を示すことが求められている。