青森県、外国人観光客向けコンテンツ創出に494万円投入　宮下知事の観光戦略に注目

青森県、外国人観光客向けコンテンツ創出に約494万円投入

宮下宗一郎知事が率いる青森県は、外国人観光客に「選ばれる地域」を目指し、地域資源を活用した新たな観光コンテンツを創出するために、約494万円の公金を投じる方針を示した。県はすでに事業者の公募を行っており、企画提案型の委託事業として今後選定作業に入る。

事業の目的と内容

この事業は、青森県が実施した観光動向調査を基に、訪日客の嗜好や旅行動機に合致する市町村を選定し、その地域で新たな魅力を発掘・磨き上げることを目的としている。県内に眠る文化・自然・食・体験などの資源を再構成し、「販売可能な観光商品」として企画化するのが狙いだ。

対象業務の名称は「インバウンド向け観光コンテンツ創出業務」であり、委託上限額は494万円（税込）。県はワークショップを中心とした実践的な企画を求めている。

「地域の強みをどう外国人に伝えるかが勝負」
「従来の観光から“体験型・滞在型”への転換が必要だ」
「デザインやストーリーを伴わない観光では選ばれない」
「現場の声を反映したプランづくりを進めたい」
「費用の使い方には説明責任を果たすべきだ」

県関係者や観光事業者からは、期待と同時に「効果検証」への懸念も聞かれる。

実施スキームと条件

県が定めた仕様によると、委託事業者は以下の業務を行う。

1.ワークショップの開催
対象市町村ごとに現地開催を原則とし、各2回以上実施する。参加者は自治体職員、観光団体、地域事業者などを想定。

2. 報告書の作成
実施内容・提案・改善点を含む詳細な報告書を提出する。

3. 助言・アドバイザリー対応
県や市町村からの相談に対し、観光マーケティングやプロモーションの観点から専門的な助言を行う。

青森県観光国際戦略局は、「観光消費を地域内で循環させるためには、単発イベントではなく、継続的な体験価値の創出が不可欠」としており、今回の事業はその実験的取り組みとされる。

背景にある“ポスト・コロナ観光”戦略

コロナ禍以降、青森県では外国人観光客の回復傾向が続く一方で、首都圏や関西圏からの誘客と比較して「滞在時間が短い」「消費単価が低い」といった課題が指摘されている。
そのため、体験型観光や文化的価値を中心に据えた“選ばれるコンテンツ”の創出を進める方針だ。

宮下知事は就任以来、「青森の資源を観光で終わらせず、経済と結びつける地域経営」を掲げており、今回の支出もその延長線上にある。ただし、企画・委託・検証のプロセスが不透明になれば「公金の効果検証が甘い」との批判を招きかねない。

今後の焦点と課題

今回の事業は、実際の観光客誘致にどれほど寄与するかが問われる。
特に、事業終了後の追跡評価や成果の定量化をどこまで行うかが焦点だ。県は2026年度以降、成果を踏まえて事業を継続・拡大するかどうかを判断する見通し。

地域経済の活性化とブランド化の両立を図るには、“費用対効果の見える化”と“住民参加型の価値づくり”が不可欠だ。公金を用いた観光戦略の行方は、宮下県政の透明性と実行力を測る試金石となる。