2025-06-10 コメント投稿する ▼
インボイス制度は中小事業者を破壊する 軽減措置終了で経済圧迫深刻に
インボイス制度の矛盾が噴出 小規模事業者に過酷な現実
インボイス制度が導入されて以降、現場で悲鳴を上げているのは、大企業ではなく、主にフリーランスや中小規模の個人事業者たちだ。6月10日の参院財政金融委員会で、日本共産党の小池晃書記局長は、登録事業者の約8割が消費税や事務コストを価格に転嫁できていないという実態を突きつけ、「インボイスは廃止すべきだ」と訴えた。
小池氏はまた、今年10月に期限切れを迎える「2割特例」などの軽減措置について、延長を政府に迫った。現行制度のままでは、ただでさえ厳しい中小零細の経営者が、さらなる税負担に押し潰される可能性がある。
フリーランスの切実な声 価格転嫁できず借金で納税も
小池氏が紹介した「インボイス制度を考えるフリーランスの会」による調査では、登録事業者の4割超が消費税の支払いを「所得や貯蓄」でまかなっており、さらに1割超は「借金」によって納税しているという。これは制度の構造そのものが、健全な経済活動を妨げている証左だ。
例えば、年間売上が約330万円のフリーランスのデザイナーの場合、インボイス導入前は消費税を納める必要がなかったが、2023年度には3カ月分で1万5,000円、2024年度には年間で6万円の納税が求められ、さらに「2割特例」が終了する2025年10月以降は、15万円にも膨れ上がる。小規模事業者にとっては、死活問題だ。
小池氏は「今の倍以上の消費税が、果たして価格に転嫁できるのか」と政府を追及。これに対し加藤勝信財務相は、「円滑な価格転嫁が行われるようしっかり取り組んでいく」と述べたが、抽象的な答弁にとどまり、実効性のある施策は示されなかった。
建設業界からも不安の声 「やっていけない」の叫び
建設業界でも同様の問題が顕在化している。インボイス登録をしていない「免税事業者」である一人親方と、元請業者との取引が多いこの業界では、元請側が消費税分を負担してきた経緯がある。これまでは「2割特例」や「8割控除」などの軽減措置により、なんとか経営が成り立っていたが、軽減措置の打ち切りにより、そのバランスが崩れる恐れがある。
実際、小池氏は現場の経営者の声として、「今は軽減措置でなんとかやっているが、これから先はとてもじゃないがやっていけない」との危機感を紹介した。価格交渉の余地がない中で、消費税分を丸ごと負担し続けることは、中小の元請企業にとっても現実的ではない。
小池氏は「価格交渉を行えた登録事業者はたった2割にすぎない」と指摘し、政府の「価格転嫁は可能」という建前が、現場の実態と乖離していることを突きつけた。
「インボイスは廃止を」求める声が広がる
小池氏は「インボイス制度そのものの廃止」と、「消費税率5%への減税」あるいは「消費税の全廃」も併せて主張した。インボイス制度の根幹にあるのは「すべての事業者に納税義務を」という考え方だが、現実にはその負担を支えきれず、経済活動の委縮や、廃業の加速を招いている。
政府側は「慎重に検討していきたい」と繰り返すばかりで、実効性ある支援や制度見直しには踏み込まない。だが、今こそ政治は現場の悲鳴に向き合うべき時である。過剰な徴税や事務負担を強いるインボイス制度の廃止は、中小事業者の生存権を守るために不可欠だ。
ネット上でも制度見直しを求める声
SNSでも、制度に対する怒りや不安の声が噴出している。
「月収20万いかないのに納税義務?無理ゲーすぎる」
「価格交渉できるのなんて大手だけ。末端は泣き寝入り」
「デザイン業界で廃業が増えてるのは、インボイスのせい」
「インボイスに対応しても取引減っただけ。誰のための制度?」
「事務処理と税負担、ダブルで苦しい。続ける意味ある?」
こうした声に真摯に耳を傾けなければ、制度の持続可能性そのものが揺らぐことになる。日本経済の土台を支えているのは、こうした小規模事業者たちである。政府が本当に経済成長を望むのであれば、インボイス制度の撤廃と、減税による経済活性化を早急に検討すべきだ。