2025-04-22 コメント投稿する ▼
個人タクシーにインボイス制度の矛盾集中 「廃業の危機」現場の声、国はどう応えるのか
個人タクシー業界、インボイス制度に直面
2025年4月22日、東京個人タクシー労働組合(全国自動車交通労働組合総連合東京地方連合会加盟)は、消費税のインボイス制度に関する問題について、財務省および国税庁の担当者から聞き取りを行った。この場には、日本共産党の小池晃書記局長・参院比例候補、吉良よし子参院議員・東京選挙区候補も同席した。
インボイス制度は、消費税の仕入税額控除の適用を受けるために、適格請求書(インボイス)の保存を義務付けるものである。これにより、課税事業者はインボイスを発行する必要があり、免税事業者は取引先からの仕入税額控除が受けられなくなる可能性がある。
制度導入による個人タクシー事業者への影響
個人タクシー事業者の多くは、年間売上が1,000万円以下の免税事業者である。しかし、インボイス制度の導入により、利用客からインボイスの発行を求められるケースが増加し、課税事業者への登録を余儀なくされている。これにより、消費税の納税義務が生じ、事務負担も増加している。
また、インボイス制度に対応していない個人タクシーは、法人顧客からの利用が敬遠される傾向にある。これは、法人が経費精算の際に仕入税額控除を受けられないためである。その結果、個人タクシー事業者の収入減少や廃業が懸念されている。
労組の懸念と政府の対応
労組の秋山芳晴委員長は、組合員から「インボイス登録をやめたいが、やめたら税務署の査察などが厳しくなるのでは」といった不安の声が上がっていることを伝えた。これに対し、財務省と国税庁の担当者は、「インボイス登録をやめることだけで一律に厳しくなる、ということはない」と回答した。
しかし、参加者からは「インボイス制度が始まり、タクシーを辞める事業者が増えている。インボイス登録しないと個人タクシーの協同組合に入れず、インボイスをやめると退会を求められる。退会すると情報が得られなくなり、続けづらい」といった訴えがあった。
政治家の指摘と今後の課題
小池氏は、「個人タクシーにはインボイス制度の矛盾が集中している。消費税を減税し複数税率をやめれば、インボイスを続ける根拠もなくなる」と指摘した。また、吉良氏も「制度の見直しが必要だ」と述べた。
インボイス制度は、消費税の透明性向上を目的として導入されたが、個人タクシー事業者のような小規模事業者にとっては、大きな負担となっている。今後、制度の柔軟な運用や支援策の充実が求められる。
- インボイス制度の導入により、個人タクシー事業者が課税事業者への登録を余儀なくされている。
- 課税事業者になることで、消費税の納税義務や事務負担が増加している。
- インボイス未対応の個人タクシーは、法人顧客からの利用が敬遠され、収入減少や廃業が懸念されている。
- 労組は、インボイス登録の取りやめに対する不安や、協同組合からの退会要求などの問題を訴えている。
- 政治家からは、制度の矛盾を指摘し、見直しや支援策の必要性が提起されている。
インボイス制度の導入は、個人タクシー事業者にとって大きな転換点となっている。制度の目的と現場の実情とのギャップを埋めるため、今後の政策対応が注目される。