2025-04-21 コメント投稿する ▼
共産県議の「人殺しの訓練」発言に波紋 小池書記局長「不適切」と認め火消しに奔走
共産党県議の「人殺しの訓練」発言に波紋 小池書記局長「不適切」と明言
日本共産党の中山和行滋賀県議が、自衛隊と米軍による共同訓練を「人殺しの訓練」と表現したことが波紋を広げている。この発言をめぐっては、自衛隊関係者や県民から強い反発が起き、県議会にも抗議が寄せられた。党本部の小池晃書記局長は21日の記者会見で「不適切な発言だった」との認識を示し、火消しに追われる形となった。
自衛隊への問題発言、家族会が抗議
発端は、3月19日の滋賀県議会本会議での中山氏の発言だった。陸上自衛隊と米陸軍が饗庭野演習場で行う実動訓練に反対する立場から、「人殺しの訓練だ」と発言。これに対し、県内の自衛隊家族会が「自衛官やその家族を侮辱するものだ」と強く反発し、県議会に抗議文を提出した。
これを受けて、共産党県議団の節木三千代団長が議長宛に「不適切な発言だった」として正式に謝罪。中山氏本人も謝罪の意を表明している。
党本部も「不適切」認めるも、再教育には否定的
小池書記局長は記者会見で、「自衛隊を『人殺し』だと思ったことも、言ったこともない」と明言。党全体としてそのような考えが根強くあるとの指摘については「そうは思わない」とし、「圧倒的多数の党員は違う認識を持っている」と語った。そのうえで、改めて党員への教育が必要ではないかとの問いに対しては、「あえて教育が必要な問題ではない」と再教育の必要性を否定した。
過去にも「人殺す予算」発言で辞任
共産党をめぐるこうした発言は、今回が初めてではない。2016年には藤野保史・元政策委員長がNHKの番組で防衛予算を「人を殺すための予算」と発言し、世論の批判を受けて辞任した例もある。今回の一件は、党としての安全保障観や表現のあり方が再び問われる事態となっている。
国民の信頼損なう発言か
自衛隊に対しては、災害派遣や人道支援活動などを通じて高い評価が定着している。内閣府の2022年の世論調査では、9割以上の国民が「良い印象を持っている」と回答しており、隊員の士気や国民との信頼関係は極めて重要だ。
今回の発言は、そうした信頼を損ねかねないものであり、政治家の言葉の重みが改めて問われている。自衛隊の実動訓練が国家安全保障にとって不可欠であることを踏まえれば、感情的で一方的なレッテル貼りは、国民全体の利益に反するという批判も根強い。
今後求められる議論
自衛隊と安全保障政策をめぐっては、賛否が分かれるのは当然だが、議論の出発点としては事実や現場の実態を冷静に見つめる必要がある。今回の騒動は、政治の場での言葉選びや表現の責任をあらためて浮き彫りにした格好だ。
政治家が何を語るかは自由だが、その言葉の先にいる人たちの思いや現実にも、誠実に目を向けるべき時だろう。