2025-03-24 コメント投稿する ▼
スルガ銀行不正融資問題、金融庁の責任を追及 未解決のアパマンローン被害と今後の課題
スルガ銀行の不正融資の概要
スルガ銀行は、シェアハウスやアパート・マンション(アパマン)への不動産投資を行うオーナーに対し、業者と結託して「元金なしでも大丈夫」などと説明し、通帳を偽装して融資を行っていた。さらに、不当な高値で物件を売り付け、空室があるにもかかわらず満室のように家賃明細書を偽装するなど、組織的な不正を行っていた。金融庁は2018年10月、これらの問題を受けてスルガ銀行に対し業務改善命令を出した。シェアハウス問題については和解が成立したものの、アパマンへの不正融資問題は依然として解決に至っていない。
被害者への対応と責任転嫁の問題
スルガ銀行は、被害に遭った各債務者の問題を個別のものとして扱い、被害者にも投資家としての過失があると主張して責任を転嫁している。小池氏は、「サラリーマンなどの一般の投資家が多い。元金なしでも融資すると銀行に言われたら信じてしまう。自己責任では片づけられない」と強調し、金融庁の森信親元長官がスルガ銀行を称賛していたことを指摘し、「金融庁としても被害を拡大させた責任がある」と迫った。
金融庁の業務改善命令とその進捗
金融庁は2018年10月、スルガ銀行に対して新規の投資用不動産融資を6カ月間停止する業務停止命令を含む業務改善命令を発出した。この命令では、経営責任の明確化や、シェアハウス向け融資およびその他の投資用不動産融資について、金利の引き下げや返済条件の見直し、元本の一部カットなど、適切な対応を行う態勢の確立が求められた。
しかし、業務改善命令から5年以上が経過した2023年11月時点でも、命令は解除されておらず、スルガ銀行の加藤広亮社長は「命令が解除されないことに大きな経営責任を感じている」と述べ、早期解除を目指す考えを示しているが、現状では見通しは立っていない。
アパマンローン問題の現状
シェアハウス関連の不正融資問題については、2020年に和解が成立し、購入者の借金が帳消しになった。しかし、中古アパート・マンションを1棟丸ごと投資用に購入した人への融資、いわゆる「アパマンローン」問題は未解決のままである。約400人の被害者が「被害者同盟」を結成し、スルガ銀行との交渉を続けているが、主張の隔たりは大きく、解決の目途は立っていない。
経営陣の交代と今後の課題
2024年3月末、スルガ銀行の嵯峨行介会長が退任した。嵯峨氏は不正融資発覚後に外部から経営陣に加わり、社長・会長を務めたが、在任中に不正融資問題の解決に向けた目立った進展は見られなかった。後任の加藤広亮社長は、「一日でも早い問題解決を強く希望しており、当社の最重要の経営課題と認識している」と述べているが、依然として見解の相違が残っており、解決のメドは立っていない。
今後の展望
スルガ銀行の不正融資問題は、金融庁の監督責任や銀行のガバナンス体制の課題を浮き彫りにしている。被害者への適切な対応と再発防止策の徹底が求められる中、金融庁とスルガ銀行双方の真摯な取り組みが不可欠である。今後、被害者の声を直接聞き、具体的な解決策を講じることで、信頼回復に努めることが期待される。