2025-10-22 コメント投稿する ▼
最高裁が「生活保護減額は違法」 共産党・小池晃「国は直ちに基準を戻せ」
国の生活保護基準の引き下げを「違法」とした最高裁判決を受け、日本共産党国会議員団が22日、国会内で全国生活と健康を守る会連合会(全生連、吉田松雄会長)と懇談を行った。 原告を含む生活保護利用者が出席し、「生活の限界に追い込まれている」「国は命を守る責任を果たしていない」と訴えた。
この懇談は、今年6月に最高裁が国の2013年以降の生活保護基準引き下げを違法と認定した「いのちのとりで裁判」勝訴を受けたもの。判決から4か月近く経っても、国が謝罪もせず、基準を戻す措置も取っていないことへの抗議と今後の行動方針を共有する場となった。
出席した原告らはそれぞれ、過酷な現状を訴えた。「月末に所持金が100円を切る」「物価高騰で食費も削っている」「国は私たちが死ぬのを待っているのか」――。命を支える制度の崩壊を前に、切実な声が相次いだ。
吉田会長は「国の対応に諦めを感じる利用者もいる。しかし共産党の国会でのたたかいが希望になる」と述べ、政治の力による改善を求めた。
小池氏は、最高裁判決を「国の政策の誤りを明確に認めた歴史的判断」と評価した上で、「国は直ちに違法な引き下げを是正し、物価高騰を反映した引き上げを行うべきだ」と主張。さらに、厚労省が設置した「専門委員会」で違法とされた処分を再議論していることを批判し、「最高裁判決を逆手に取って基準改悪を正当化しようとしている」と警鐘を鳴らした。
背景には、当時の政治主導による「生活保護バッシング」がある。2013年当時、当時の政権関係者だった高市早苗氏(現首相)、片山さつき氏(現財務相)らが、生活保護受給者を「過剰な支援を受けている」とする世論誘導を行ったと指摘されている。小池氏はこれを「政治が貧困を利用した」と厳しく批判し、「高市政権に対して議員団一丸で全力を尽くす」と決意を示した。
今回の最高裁判決は、2013年の生活保護基準改定(平均6.5%減)に対して全国29地裁・高裁で争われた一連の訴訟の集大成だ。最高裁は、厚労相が物価動向や受給者の実態を十分に考慮せず、専門的検討を欠いたまま引き下げを決定した点を「裁量権の逸脱」と認定。行政判断としての限界を超えた違法な処分だと断じた。
それにもかかわらず、国は「今後の検討のため」として謝罪を避け、現行基準を維持している。生活保護受給世帯にとっては、物価高騰・光熱費上昇・住宅費負担増の三重苦が続いている状況だ。
小池氏は「生活保護は『最後のセーフティネット』どころか、いまや『命を守る最前線』になっている。ここを切り捨てれば社会全体が壊れる」と語り、党として引き下げ是正と増額を求めていく方針を明言した。
懇談に参加した山添拓政策委員長(参院議員)は「判決の重みを無視する国の態度は立憲主義の否定だ」とし、辰巳孝太郎、田村貴昭、堀川あきこ、白川容子の各議員も「現場での困窮を国会に反映させる」と発言した。
生活保護費は全国で約200万人に給付されているが、厚労省の統計では「制度を知らない」「申請をためらう」層がさらに数百万人規模で存在するとされる。実際、物価上昇と所得格差の拡大で、申請件数は増加傾向にある一方、審査や運用の硬直化が進んでいる。
最高裁が違法と断じた今、政治の責任は明白だ。制度の運用改善と基準見直しを国会が主導できるかが問われている。小池氏が言うように、「命を守る防波堤」としての政治の役割が、今ほど試されている時はない。