2025-11-19 コメント投稿する ▼
大阪市の福祉関連施設が過大請求した104市町村対象者の半数が市外居住で27億円の不正受給疑惑
大阪市の福祉関連会社による障害者就労支援給付金の不正受給問題が全国規模の影響を与えていることが明らかになりました。絆ホールディングス傘下の事業所による過大請求は104市町村にわたり、過大受給額は約27億円に上るとされています。制度の盲点を突いた巧妙な手口により、障害者を支援するための公金が不正に流用されていた実態が次々と判明し、福祉制度への信頼を根底から揺るがしています。
全国規模の不正が発覚
大阪市の「絆ホールディングス」が2024年度以降、傘下の事業所で障害者就労支援の給付金を約27億円過大に受給していた疑いが明らかになりました。市への取材で、過大請求を受けた市町村が14都府県104市町村に上ることが判明し、就労定着者の約半数は市外に住んでいたことが分かりました。
絆ホールディングスの子会社などが大阪市内で運営する複数の「就労継続支援A型事業所」が、利用者が一般企業に移り半年以上働くと事業所への給付金が加算される制度を悪用していました。関係者によると、絆ホールディングスはA型で働く利用者をグループ内でデータ入力などに携わらせて「一般就労」の形に転換し、6カ月以上たったらA型に戻して再び一般就労に移行させることを繰り返していました。
「こんな制度の悪用が許されるのか。障害者支援の制度が食い物にされている」
「27億円って相当な額だよね。税金返してほしい」
「就労支援と言いながら結局は金儲けの道具にしてるじゃないか」
「これじゃあ本当に支援が必要な人達が困るよ。制度の見直しが必要」
「大阪市はなぜもっと早く気づかなかったんだ。監査体制に問題がある」
組織的な不正スキームが判明
絆ホールディングスグループの元職員の証言により、「36カ月プロジェクト」という名前で6カ月ごとに一般雇用と利用者雇用を切り替えていく組織的な手法が明らかになりました。グループ内で使用されていた資料には「A型就労期間」と「一般就労期間」を繰り返すことを示す図が描かれており、制度を悪用するための具体的な仕組みが存在していました。
元職員の証言によると、利用者が就職したいから一般就職するわけではなく、期間が経てば自動的に一般就職という形に雇用が切り替えられ、また利用者に戻る仕組みでした。環境も仕事内容も一切変わらない中で、契約だけを変更することで加算条件を満たしていたとされています。
傘下の3事業所が昨年度申請した就労定着者数は616人と、前年度の298人から倍増していたことも判明しており、不正な水増しが急激に拡大していた実態が浮かび上がっています。
市の監査体制に重大な欠陥
大阪市が昨年度に就労継続支援A型事業所へ支払った給付金の総額は約136億円で、このうち絆ホールディングスのグループが4割近くを受け取っていたとみられています。一つの企業グループが市の給付金総額の4割を占めるという異常事態にも関わらず、長期間にわたって見過ごされていました。
横山英幸氏市長は11月6日、監査の結果で不適正な事業運営が判明した場合は「認定取り消しや返還請求も当然あり得る」と述べました。また、市内に1649ある福祉関連事業所に加算金に関する実態調査を始めており、横山氏市長は調査結果を月内に取りまとめる考えを明らかにしました。
横山氏市長は「監査対象の法人は広範にわたって運営されている。万が一にも適正でない処理や申請があった場合は、市として毅然とした対応をしなければならない」と述べており、制度の抜本的な見直しと監査体制の強化が急務となっています。
福祉制度への信頼失墜は深刻
今回の事件は、障害者支援という崇高な理念を掲げた福祉制度が、営利追求の道具として悪用されていた実態を浮き彫りにしました。真に支援を必要とする障害者の方々にとって、制度への信頼失墜は極めて深刻な問題です。
元利用者の証言によると「動画編集」や「ものづくり」ができるとうたっていたにも関わらず、実際には十分な支援が受けられなかったケースもあり、本来の就労支援機能が果たされていなかった疑いも強まっています。
制度の趣旨である就労支援ではなく、給付金の水増しが目的となっていた構図は、福祉制度の根本的な問題を示しています。国や自治体は監査体制の抜本的な見直しと、制度悪用を防ぐための厳格なルール作りを急がなければなりません。障害者の方々が真に必要とする支援が確実に届けられる制度への再構築が求められています。