2025-11-17 コメント投稿する ▼
大阪市特区民泊新規申請停止決定 迷惑民泊根絶チーム新設でヤミ営業処分強化
政府は2025年11月17日、国家戦略特区における「特区民泊」について、2025年5月29日で新規申請の受理を停止するとした大阪市などの方針を了承しました。 全国の特区民泊施設の94%が集中する大阪府内では住民トラブルが深刻化しており、自治体が相次いで新規申請停止に踏み切る異例の事態となっています。
大阪市特区民泊新規停止でヤミ営業増加懸念 違法業者処分へ根絶チーム新設
政府は2025年11月17日、国家戦略特区における「特区民泊」について、2025年5月29日で新規申請の受理を停止するとした大阪市などの方針を了承しました。全国の特区民泊施設の94%が集中する大阪府内では住民トラブルが深刻化しており、自治体が相次いで新規申請停止に踏み切る異例の事態となっています。
大阪市は悪質事業者への対応を強化するため「迷惑民泊根絶チーム」を新設し、違法営業の撲滅に本格的に取り組む姿勢を鮮明にしました。
住民苦情が3年で4倍超に急増
大阪市が特区民泊の新規申請停止を決断した背景には、住民とのトラブルの急激な増加があります。2024年度の苦情件数は前年度比2倍以上の399件に達し、2021年度の4倍を超える深刻な状況となりました。
苦情の内容はごみ処理や騒音問題が中心ですが、特に目立つのが「2泊3日以上」という滞在日数ルールを守らない1泊滞在に関するものです。特区民泊は通年営業が可能で参入ハードルが低いため急速に普及しましたが、その一方で適切な管理を怠る事業者が増加したのが実情です。
民泊事業者らで構成する「民泊旅館簡易宿所業組合」の榊原啓祐代表は、新規申請停止について懸念を表明しています。「申請受理を停止することでヤミ民泊が増える恐れがある」として、制度の見直しが逆効果になる可能性を指摘しました。
市民からも様々な声が上がっています。
「やっと住環境が改善されそうで安心した」
「観光客は歓迎だけど、ルールを守らない民泊はもう限界」
「正直な事業者まで巻き添えにならないか心配」
「ヤミ民泊が増えたら本末転倒になってしまう」
「根本的な解決には時間がかかりそうだね」
全施設7000件対象の実態調査を実施
今月発足した大阪市の迷惑民泊根絶チームは、特区民泊施設の営業実態を把握するため、市内全7000件超の施設を対象としたアンケート調査を準備中です。これまでの苦情内容と調査結果を組み合わせて重点監視施設を抽出し、効率的な指導・処分体制を構築する方針です。
市は11月中にも事業者の処分に関するマニュアルを策定し、重点監視施設への立ち入り調査を強化します。悪質事業者に対しては改善命令や認定取り消しといった厳格な処分を実施する予定で、これまでの曖昧な基準を明確化して実効性を高める狙いです。
大阪市では既に違法民泊撲滅チームが2018年から活動しており、4700件のヤミ民泊を確認して約9割に指導を実施した実績があります。しかし特区民泊の急増に伴い新たな問題が発生したため、追加的な対策が必要となりました。
地域共生への模索続く
大阪市生野区で町内会長を務める安藤公一さん(68歳)は、新規申請受理の停止について「現状を考えれば仕方ない」と理解を示しています。町内会エリアには5件の特区民泊施設があり、さらに1件が開業準備を進めている状況です。
安藤さんは「何とか事業者と地域が共生できる形を模索したい」と語り、全面的な排除ではなく適切なルール遵守による共存の道を探る考えを示しました。これは多くの住民の本音を代弁する発言と言えるでしょう。
大阪府では34自治体を対象とした意向調査を実施し、全域での新規受け付け停止を希望する自治体が7市町から27市町村に急増するなど、府内全体で規制強化の流れが加速しています。
一方で観光業界への影響も懸念されており、2024年に大阪府を訪れた外国人旅行者の消費額は1兆2935億円と2018年から7割増加している現状を考慮すれば、宿泊需要の受け皿確保も重要な課題です。
大阪市の今回の決断は、急成長した民泊市場に対する初の本格的な規制強化として注目されています。適正な運営を行う事業者と地域住民の双方が納得できる制度の構築が、今後の大きな課題となりそうです。