2025-10-23 コメント: 1件 ▼
大阪市、特区民泊の新規受付を“7か月後に停止” 市民の悲鳴を無視した行政の怠慢
大阪市が、国家戦略特区法に基づく「特区民泊(国家戦略特区民泊制度)」の新規申請の受付を2026年5月30日で停止する方針を固めたことが23日、明らかになった。 表向きには「制度見直しのための調整期間」とされているが、実際には市民の生活被害が深刻化しているにもかかわらず、あと7か月も新規受付を継続するという極めて鈍い対応だ。 大阪市の判断は、市長部局だけの問題ではない。
大阪市、特区民泊の新規受付を“7か月後に停止” 市民の悲鳴を無視した怠慢行政
騒音・ゴミ・迷惑行為…被害が深刻化する中で“先送り”判断
大阪市が、国家戦略特区法に基づく「特区民泊(国家戦略特区民泊制度)」の新規申請の受付を2026年5月30日で停止する方針を固めたことが23日、明らかになった。
表向きには「制度見直しのための調整期間」とされているが、実際には市民の生活被害が深刻化しているにもかかわらず、あと7か月も新規受付を継続するという極めて鈍い対応だ。
特区民泊の制度変更には、政府の国家戦略特別区域会議で区域計画の変更案をまとめ、首相の認定を得る必要がある。大阪市は来月にも区域会議に諮るとしているが、制度運用の“停止までの猶予”を設けた点が批判を招いている。
民泊公害はすでに“生活破壊”レベル 7か月待つ余裕などない
市民からの苦情は、もはや一部地域の問題ではない。市によると、民泊施設を巡る騒音・ゴミ・違法駐車・深夜トラブルの通報は年々増加。特に中央区、西成区、浪速区など観光地周辺では、「夜中に大声で騒ぐ外国人宿泊客」「ゴミ分別を守らない」「無断で敷地に侵入する」などの被害が相次いでいる。
大阪市は7月に部局横断の検討会を設置し、9月末に「当面の受付停止方針」を示したが、実際の停止時期を来年5月と設定。
つまり、市民はさらに7か月もの間、新たな民泊施設が次々と許可され続ける現実を受け入れざるを得ないということだ。
記者として率直に言う。
この決定は、市民生活を守る行政の姿勢として完全に失格だ。
実際に被害を受けている地域住民にとって、7か月という期間は「行政の準備」ではなく「被害の延命」に他ならない。民泊の運営者・仲介業者がこの猶予期間を“駆け込み営業”に使うことは目に見えている。
“観光立国”の名のもとに住民を犠牲にする愚策
大阪市がこのように対応を先延ばしする背景には、観光収入を重視する政策バランスがある。大阪・関西万博を目前に控え、「民泊規制強化」を打ち出すことで外国人観光客の受け入れに悪影響を与えることを避けたいという思惑だ。
だが、「観光都市のイメージ」よりも優先すべきは、市民の生活環境である。民泊トラブルは単なる「不快な出来事」ではない。
・高齢者が夜眠れず体調を崩す
・ゴミの放置で害虫が増える
・マンション住民間のトラブルでコミュニティ崩壊
こうした被害が現実に起きている。それでも行政が「5月まで待ってくれ」と言うのは、市民を“観光産業の犠牲者”にしていると言っても過言ではない。
特区民泊制度はもともと「国家戦略特区」として地域経済活性化を狙った制度だった。しかし、現実には地元住民の安心・安全を犠牲にした“経済実験”に成り下がっている。
制度を維持したい観光局や民泊業者の声ばかりを聞き、市民の声を後回しにする行政の態度は、まさに「市民軽視の構造的怠慢」だ。
大阪市長・市議会の責任も問われる
大阪市の判断は、市長部局だけの問題ではない。市議会の一部会派も「民泊は地域経済の柱」「観光客減少は避けたい」として停止時期の延長を容認した。これが事実ならば、議会としての監視機能も形骸化している。
特区民泊の運営実態には、業者が管理責任を果たさず、緊急連絡先が機能しないケースも多い。違法営業を取り締まる体制も限界に達しており、「現場の混乱を放置して制度維持を優先」する行政構造が浮き彫りになった。
大阪市が本当に市民の側に立つならば、即時停止を決断し、現場の被害実態に基づく制度再設計を行うべきだ。
7か月後に「ようやく止める」などという感覚は、行政の責任放棄でしかない。
市民の生活よりも観光の数字を取った大阪市
民泊公害は、統計や会議資料では測れない“生活被害”そのものである。「音」「ゴミ」「不安」——その一つひとつが住民の健康と地域の秩序を蝕んでいる。
それを分かっていながら、なお7か月先の停止を決めた大阪市の判断は、市民の生活よりも観光の数字を優先した証拠だ。
大阪市には今こそ、問われている。「あなたたちは誰のための行政なのか」と。