2025-09-01 コメント投稿する ▼
大阪市が生活保護転居費を16年間誤運用 最大6万4000円減額し謝罪
大阪市、生活保護転居費を誤って減額 16年間の誤運用を認め謝罪
大阪市が生活保護利用者の転居に必要な敷金などの初期費用について、国の通知に従わず独自の計算方式で上限額を引き下げる誤った運用を16年間続けていたことが明らかになった。誤りにより、単身世帯で最大4万8000円、5人世帯で最大6万4000円も低く設定されていた。市は8月26日付で公式ホームページに謝罪文を掲載し、運用を改めるとした。
生活保護制度では、老朽化やDV被害などの事情で転居が必要な場合や、利用開始時にホームレス状態だった場合、敷金・礼金・仲介料・火災保険料・保証料などが住宅扶助として支給される。2009年度に国が通知した基準では、単身世帯の支給上限は「家賃上限額(大阪市は4万円)×1.3倍×4倍」とされていた。しかし大阪市はこの「1.3倍」を掛けずに計算し、府内43市町村の中で唯一、誤った基準を運用していた。
「大阪市だけが国の通知を守らなかったのは重大だ」
「誤解釈では済まされない。利用者を切り捨ててきた」
「黒字財政なのに、弱者にしわ寄せか」
「16年間も放置した責任は重い」
「補償は5年で打ち切るのでは不誠実だ」
支給不足と謝罪
市は今年度、支給不足が判明した34人に対し計54万290円を追加支給する方針を示した。また、2020年度以降の対象者を調査し、不足があれば支給と謝罪を行うとしている。ただし2019年度以前については「書類の保存期間が5年」「保護費の遡及支給は過去5年まで」と説明し、補償は困難だとした。
専門家の指摘
「生活保護情報グループ」の調査で誤りが判明した。メンバーの桜井啓太・立命館大学准教授は「被害を過少に見積もり、問題を矮小化している」と批判。大阪市では敷金等の支給件数が年間約4000件に上り、16年間の誤運用は膨大な人数に影響を与えた可能性があると指摘した。
制度運用の不備と市民への影響
大阪市の説明は「誤解釈」とするにとどまり、具体的な原因や責任の所在は不明確だ。生活保護利用者にとって転居費の不足は、住居確保の機会を奪い、安全な生活環境を阻害する深刻な問題となる。制度上の信頼を損ない、行政への不信感を高める結果ともなっている。
生活保護制度の信頼回復へ
今回の誤運用は、行政が国の基準を逸脱していたにもかかわらず長年放置された構造的な問題を浮き彫りにした。基金を積み上げ黒字を維持する一方で、現場の利用者にしわ寄せが及んでいたことは批判を免れない。大阪市は速やかな調査と補償、再発防止策を示すことで、生活保護制度の信頼回復に努める必要がある。