2025-10-02 コメント投稿する ▼
沖縄・名護市の空き家594件 仏壇や相続課題にアドバイザー協議会が対応へ
全国的に広がる空き家の増加は、沖縄県内でも例外ではない。 名護市によると、市内の空き家は2023年度時点で594件に上っており、対応が急務となっている。 市は10月1日、空き家対策を担う「空家等管理活用支援法人」として、全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部を正式に指定した。
沖縄・名護市でも深刻化する空き家問題
全国的に広がる空き家の増加は、沖縄県内でも例外ではない。名護市によると、市内の空き家は2023年度時点で594件に上っており、対応が急務となっている。地域住民からは「相続で管理できなくなった」「仏壇が残っていて処分できない」などの相談も寄せられている。
市は10月1日、空き家対策を担う「空家等管理活用支援法人」として、全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部を正式に指定した。任期は3年間で、官民が連携して問題解決にあたることになる。
改正法で広がる官民連携
空き家支援法人の指定制度は、2023年に改正された「空家等対策の推進に関する特別措置法」で導入された。法改正により、行政だけでは対応しきれない課題を専門の団体が補完する仕組みが整えられた。
沖縄県内では今年7月、宮古島市が初めて支援法人を指定。名護市はそれに続く形となり、今後、県内で他の自治体にも広がる可能性がある。
仏壇や相続問題が解決を難しく
沖縄特有の事情として指摘されるのが、空き家の内部に残された仏壇の存在だ。伝統的に親族が代々受け継ぐことが多く、処分や移動には精神的な抵抗を伴う。そのため、空き家の片付けが進まない要因の一つになっている。
また、相続登記が行われていない物件も少なくない。所有者が不明確なまま放置され、倒壊や雑草の繁茂、害虫の発生などで地域の安全や景観を損なうケースが後を絶たない。
「遠方に住んでいて管理ができない。けれど仏壇があるので勝手に処分できず困っている」
「兄弟で相続したが話し合いがまとまらず、結果として空き家が荒れてしまった」
「庭木が伸び放題で近隣から苦情を受けた。どうしていいか分からない」
「固定資産税だけ払い続けている。誰も住まないのに負担が重い」
「解体するにも費用が高くて手を出せない。市に相談できる場所ができて安心した」
こうした声に応える形で、アドバイザー協議会が支援に入る。専門家が現地を確認し、管理代行や売却、活用の方法を所有者と共に検討することが期待される。
地域全体での課題解決へ
名護市の担当者は「空き家は放置されると防災や衛生の問題を引き起こす。地域全体で解決していく必要がある」と強調する。
支援法人となった全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部は、これまでも個別相談やセミナーを通じて啓発活動を行ってきた。今後は市と連携し、所有者への働きかけを強めるとともに、仏壇や相続に関する相談体制も整える方針だ。
全国的に空き家は増加を続けており、総務省の調査では2023年時点で全国の空き家率は過去最高を更新している。沖縄県内でも人口減少や高齢化に伴い、今後さらに増えることが予想される。
名護市の取り組みは、地域独自の課題を抱えながらも、官民連携による解決策を模索する先進事例として注目されそうだ。