2025-08-01 コメント投稿する ▼
無所属・尾辻朋実氏が初登院 父・秀久元議長への思い胸に、鹿児島初の女性参院議員として始動
尾辻朋実氏が初登院 「父の背中を胸に」鹿児島選挙区初の女性議員が歩む政治の道
議事堂に響く父への思い 尾辻朋実氏が初登院
8月1日、臨時国会が開会されたこの日、鹿児島選挙区から初当選した尾辻朋実氏(無所属)が初登院を果たした。午前8時半ごろ、議事堂の正面玄関に立ち、彼女の表情は引退した父、尾辻秀久元参院議長への思いであふれていた。「36年間、ここで頑張ってきたんだな」と、かつて父が通った同じ場所に立った感慨を静かに語った。
尾辻氏は、長年鹿児島を地盤とした父の議席を引き継ぐべく、自民党の公募に応募したが、党の選考から漏れた。その後、立憲民主党の推薦を受け、無所属で出馬。保守系有権者とリベラル層の両方に丁寧に訴えかけ、初当選を果たした。
登院当日は、地元百貨店で新調したという濃紺のパンツスーツで登場。「動きやすさを重視した」と話しつつも、その佇まいには新たな政治家としての覚悟がにじんでいた。「議員バッジをつけて登院することの重みを実感している」と語る姿は、父から受け継いだ政治の志を引き継ぐ決意そのものだった。
排他主義に一線 外国人政策で冷静な対応訴え
参院選では、外国人政策がひとつの争点となった。報道陣からその姿勢を問われた尾辻氏は、「日本で真面目に働いている外国人もおり、鹿児島はそうした人たちに支えられてきた」と述べたうえで、「必要以上の排他主義ではなく、必要な規制だけ講じる冷静な対応を」と強調。過剰な敵視ではなく、現実を見据えたバランスある政策の必要性を訴えた。
これは、地域社会の実態を踏まえた発言でもある。農業や介護、建設業など鹿児島県内の多くの現場では、外国人労働者が支え手となっており、全面的な排除は現実的ではないという事情がある。尾辻氏はそうした現場感覚を政治に持ち込もうとしている。
「父の後を継いだだけじゃない、ちゃんと地に足のついた感覚がある」
「排除ではなく共生。でもルールは必要。それが冷静な判断だと思う」
「鹿児島で働く外国人の姿をちゃんと見てくれているのが伝わる」
「政治家ってもっと構えてる人ばかりだと思ってた。自然体でいいね」
「親の七光りって言う人いるけど、覚悟が見えたら関係ない」
こうした有権者の声は、尾辻氏が単に「二世議員」としてでなく、現実を直視する政治家として受け入れられつつあることを示している。
物価高への対応 「賃金上昇を急ぎたい」
尾辻氏は物価高への対策として「賃金上昇に向けた動きを急ぎたい」と明言。単なる給付金での一時的しのぎではなく、継続的な家計の底上げを目指す方向性を示した。
鹿児島県は農業や畜産など、第一次産業の占める割合が高く、都市部よりも原材料費や輸送費の影響を受けやすい。尾辻氏の言う「賃金上昇」は、単なる民間任せの話ではなく、農業所得や地場産業の底上げも視野に入れたものとみられる。
今後、ほかの議員らとの連携を進めながら、現場に根ざした経済政策をどう実現するかが注目される。
鹿児島初の女性参院議員としての重責
尾辻氏は、鹿児島選挙区から選出された初の女性参議院議員という立場でもある。地方における女性の政治参加は依然として低い水準にとどまっており、その意味でも彼女の存在は象徴的だ。
本人は「県民にいただいた6年間を、今日から大切に過ごしたい」と決意を新たにしている。保守地盤でありながら、党派を越えて支持を集めた彼女の政治的立ち位置は今後も注目されるだろう。
今後、保守とリベラルの間に立ち、どのように政治的判断を重ねていくのか。信念と現実、理念と地域性。その両立が彼女の最大の試練となるに違いない。