2025-07-14 コメント投稿する ▼
立花孝志氏が“後追い演説”で仕掛ける異例の選挙戦 参院兵庫選挙区に波紋広がる戦術の是非
「追跡型」選挙戦に賛否 立花氏が仕掛ける演説バトル
2025年7月20日投開票の参院選兵庫選挙区(改選数3)で、政治団体「NHK党」党首・立花孝志氏の選挙戦略が大きな波紋を呼んでいる。13人が立候補する混戦の中、立花氏は元明石市長・泉房穂氏に狙いを定め、「泉氏の演説の後に演説を重ねる」という“後追い戦術”を展開中だ。
この手法は、昨秋の兵庫県知事選でも注目された「2馬力選挙」の延長線上にある。知事選では斎藤元彦知事を応援し、後方支援という形で動いたが、今回は対象を泉氏に変え、応援ではなく“追跡と批判”という形で仕掛けている。
公示前から立花氏はSNSで「泉房穂候補の選挙演説の後に私が演説します」と明言。兵庫県内の有権者に向けて「泉氏の選挙カーを見つけたら、連絡ください」と投稿し、情報提供を呼びかけた。これは泉氏の演説をリアルタイムで追跡し、続けて自身が演説することで、その場にいる有権者の注目を集めるという意図を持つ。
陣営関係者は「知名度のある候補の後に演説すれば、人が集まる。当然の戦略であり、合理的な行動」と語る。政治戦略としては、少ないリソースで最大のリーチを狙う“コスパ型”ともいえる手法だ。
泉陣営は“ステルス選挙”で応戦 公開日程はゼロ
この動きに対し、泉氏側は対抗策として、演説場所や時間を一切告知しない「ステルス選挙」に切り替えた。公示日の第一声も、多くの候補が集まる神戸ではなく、姫路市沖にある家島諸島・男鹿島で実施。漁船の上から演説するという異例のスタートを切った。
その後も一切の事前発表を行わず、街頭で突如現れての“ゲリラ演説”や、商店街での練り歩きといった行動に終始している。立花氏の追跡をかわすための作戦とみられ、泉陣営関係者は「注目されたいのではなく、政策を届けたい」と説明するが、実質的には立花氏の動きを強く警戒していることがうかがえる。
立花氏の側からすれば、泉氏がどこに現れるか分からない状況に手を焼いており、「追跡」は今のところ実現していない。それでもSNSでは泉氏の過去の発言や政界引退宣言の“前言撤回”などを繰り返し批判し、「問題提起型」の戦術を展開し続けている。
“合法的なグレーゾーン”戦術に制度の限界も
立花氏の戦術が選挙の自由や公正性にどう影響するのか──。専門家からも懸念の声が上がる。選挙制度に詳しい大学准教授は「現行法では、相手の演説後に演説すること自体は禁止されていない。音量や妨害の意図が明確でなければ法的には問題とされない」としつつ、「相手候補の活動を萎縮させるような行動が常態化すれば、選挙の健全性に悪影響を及ぼす」と述べている。
昨年の衆院補選でも、別の政治団体が類似の“追跡妨害”を行い、物議を醸したケースがあった。立花氏の場合、直接的な妨害ではなく“法の隙間”を巧妙に突いた手法を取っており、合法的だが選挙の本質から逸脱しているとの指摘も少なくない。
「立花氏のやり方、法律的にはOKでも倫理的にどうなん?」
「選挙がYouTuberのプロレス会場みたいになってる」
「泉の演説後に立花が現れるって、まるで追っかけ芸人」
「候補者の批判だけで票を得るのはやめてほしい」
「政治をバズらせて終わりにしないで。中身を語って」
SNS上では、立花氏の手法に対して一定の注目が集まる一方で、「話題先行」「炎上狙い」といった批判的な声も目立つ。中には「こうした動きが若者の政治関心につながる」と肯定的に見る声もあるが、選挙全体の品位や構造的な問題に発展しかねないとの懸念は根強い。
選挙戦術か、選挙妨害か 境界線を問う選挙
立花孝志氏は、これまでもたびたび選挙制度の“穴”を突いた行動で注目を集めてきた。政見放送での問題発言、候補者としての目立ち方、そしてネット空間を活用した炎上型の政治活動。今回の兵庫選挙区でも、その姿勢に一切のブレはない。
だが、「目立つこと」が「信頼されること」とは必ずしも一致しない。有権者にとっては、どんな方法で注目を集めるかよりも、最終的にその候補がどのような政策を持ち、どんな未来を描くかの方が重要だ。
立花氏のような戦術が今後さらに横行すれば、真面目に政策を訴える候補者が不利になる可能性もある。今回の選挙は、単なる一候補の話題にとどまらず、「選挙の質」と「制度のあり方」を問い直すものでもある。