2025-11-21 コメント投稿する ▼
消費税減税・インボイス廃止を田村智子委員長が追及 政府の経済対策を問う
その上で、ある実態調査では登録事業者の約8割が「消費税等の負担を価格転嫁できない」と回答しており、「消費税を納税するために消費者金融から借金した」という声も出ているとして、制度そのものが“事業者の圧迫要因”となっていると警鐘を鳴らした。
財務金融委で追及された「消費税減税・インボイス廃止」の議論
野党側から“減税と制度撤廃”を迫る声が再び高まっている。2025年11月21日、衆議院財務金融委員会において、田村智子委員長(日本共産党)は政府の総合経済対策を巡り、「消費税減税」と「インボイス制度の廃止」を強く求めた。さらに、同対策に“軍事費の大幅増額”が盛り込まれた点を「前代未聞」と批判し、財源を赤字国債で賄う可能性にも疑念を向けた。
インボイス制度の影)
田村氏は、免税事業者から適格請求書発行事業者(インボイス登録事業者)へ移行した個人事業者数が、2023年で約105万件、2024年に新たに約23万件と確認されたことを指摘。その上で、ある実態調査では登録事業者の約8割が「消費税等の負担を価格転嫁できない」と回答しており、「消費税を納税するために消費者金融から借金した」という声も出ているとして、制度そのものが“事業者の圧迫要因”となっていると警鐘を鳴らした。
政府側を代表して、片山さつき財務相は、「日本商工会議所でも軽減措置延長を非常に強く求めていることを承知している。ただし、自民党の税制調査会の議論を見守る」と述べるにとどまった。世論の強い要請には触れたが、具体的な動きには至っていない。
消費税減税へ向けた与野党協議の呼びかけ
田村氏は今回、政府に対して「消費税を減税する与野党協議の開催」を求め、特にインボイス制度に関し、「少なくとも“8割控除、2割特例”の軽減措置を延長すべき」と主張した。これは、課税業者が免税業者からの仕入れで控除できる割合を引き下げてきた制度変更への調整措置を指す。実際に、課税業者の4割超が免税業者との取引価格の見直しや打ち切りを検討しているという調査結果も報告されており、制度運用の急激な変化が中小事業者に重大な影響を与えている。
また、田村氏は「消費税減税なしでは物価高騰下の国民・中小事業者を守れない」と述べ、参議院選挙で示された「減税」を求める民意を改めて強調した。たとえば、ある世論調査では73%が何らかの消費税減税を求めるという結果が出ている。
軍事費増・財源確保への疑念
政府が閣議決定した総合経済対策では、今年度中に防衛費の対国内総生産(GDP)比2%を達成することが掲げられており、田村氏はこれを「経済対策に軍事費が盛り込まれるのは前代未聞だ」と批判した。さらに、財源について「赤字国債を充てるのか」と追及した。歴代政権では赤字国債を直接軍事目的に充てることを否定してきたとの記録を挙げ、「自民党政権でも超えてはならない『則』があった」と強い調子で述べた。
これに対し片山財務相は、「毎年防衛費はかなり大きい」「お金に色はない」と語り、明確には否定しなかった。政府が明示的に「赤字国債を使う」と公言していないものの、疑念の余地を留めたかたちだ。
今後の焦点・国会対応
今回の議論は、制度変更や財政政策が暮らしや中小企業の現場にどのように響いているかを改めて浮き彫りにした。特に、インボイス制度の運用による価格転嫁の困難や免税事業者への影響、そして消費税の負担の重さが改めて議題となった。田村氏の要求に対し、政府・与党側がどのように応じるかが今後の焦点となる。
与党側では、税制調査会で議論を進めるというスタンスを示しているが、明確なスケジュールは確認できていない。消費税減税をめぐる与野党協議の開催や、インボイス制度の扱い、軽減措置の延長が実際に実現するかどうか、国民の関心は高い。特に物価高騰が続く中、「減税」というスローガンは政治課題としてなお強い響きを持っている。
政府の財政運営についても、軍事費の拡大とその財源の透明性が問われている。赤字国債による財源確保は過去にも慎重な姿勢が取られてきたため、その変更が国の財政規律にどう影響をおよぼすかも注視すべきだ。
今後、次回国会や閣議決定の改定案、与野党協議の成立過程で、田村委員長の追及姿勢と政府側の対応との差が政策のゆくえを左右する。国民生活と中小企業の現場に直結する税・制度改革という点で、注目を続ける必要がある。