2025-10-24 コメント投稿する ▼
議員定数削減法案を阻止へ 共産党・田村委員長が国会内外での共同戦略示す
「法案を出させないためにたたかう」と述べ、野党をはじめとする多くの政党や国会議員との連携強化を通じて、自民・維新連立政権による悪政推進の突破口となる定数削減を阻止する方針を示しました。 田村委員長は記者会見で、定数削減反対での「一点共同」が可能であることを強調しました。
日本共産党の田村智子委員長は2025年10月24日の記者会見で、衆議院議員定数削減法案を今国会で成立させないための戦略を明らかにしました。「法案を出させないためにたたかう」と述べ、野党をはじめとする多くの政党や国会議員との連携強化を通じて、自民・維新連立政権による悪政推進の突破口となる定数削減を阻止する方針を示しました。
企業献金問題から目をそらす政治とカネの「目くらまし」
自民党と日本維新の会は2025年10月20日に連立合意し、定数削減を臨時国会での重要案件として位置付けました。衆院定数465のおよそ1割にあたる50議席削減を目指し、比例代表の大幅削減が念頭にあります。
しかし、定数削減の本当の狙いは政治とカネの問題から国民の目をそらすことにあります。連立合意書では企業・団体献金の禁止についてはうやむやにされたまま。維新が「身を切る改革」として強調する定数削減は、国民が強く求める企業献金規制への議論から逃げるための「目くらまし」である可能性が高いのです。立憲民主党幹部も「政治とカネ問題から目をそらそうとしているのではないか」と批判しています。
比例代表削減で少数政党・多様な意見を排除
より深刻なのは、定数削減が民主主義を根本から損なう点です。維新が狙う比例代表の削減は、少数政党を議席から排除し、国民の多様な意見を国会に届かなくさせることになります。
日本の国会議員定数は、経済協力開発機構(OECD)加盟国38カ国中36番目の水準で、人口100万人当たりわずか5.6人。イギリスと比べても4分の1程度に過ぎません。むしろ日本の国会議員は国際的に見て少ないのが実態です。にもかかわらず、さらに削減すれば国民の声がさらに国会に届きにくくなってしまいます。
比例代表は小選挙区とは異なり、得票数に応じて政党候補者の当選人数が決まるため民意が正確に反映される部分です。維新が比例代表の削減を狙うのは、反対意見を持つ少数政党の議席を減らし、自民・維新による支配体制を強化するためにほかなりません。
「民意を反映する比例制を削ってどうするんだ」
「少数意見が国会から消えるのは独裁政治への道」
「定数削減は企業献金問題から目をそらすトリックだ」
「民主主義より大企業利益が優先されるのか」
「自分たちと異なる意見を排除するな」
「政治とカネの一体改革」ではなく企業献金全面禁止こそ必須
田村委員長は記者会見で、定数削減反対での「一点共同」が可能であることを強調しました。立憲民主党の野田佳彦代表が定数削減に賛成と述べたことに対しても、「野田代表は一方で、定数削減は『えいや』でやるものではないと表明している」と指摘。野党各党が定数削減を乱暴に進めることに異論を唱えている点を評価しました。
さらに注目すべきは、自民党内にも公然と定数削減に反対を表明する議員が存在することです。連立を組む公明党の斉藤鉄夫代表は21日の記者会見で「比例代表だけを削減するのは、選挙制度の理念を壊すことになる」と批判。比例代表は「少数意見をすくいあげる部分であり、民主主義にとって重要な役割だ」と明言しました。自民党の鈴木俊一幹事長も「小選挙区の定数を削減するのはなかなか難しい」と慎重姿勢を示しており、党内にも異論が存在しています。
田村委員長は「良識ある国会議員は、自民・維新の連立政権が進めようとしていることにかなりの危惧を抱いている」と述べ、党派を超えた民意の結集に期待を示しました。
スパイ防止法や社会保障改悪へつながる悪政推進の第一歩
より根本的な危険性は、定数削減が後に続く悪政推進の突破口となることです。高市首相は所信表明演説で異次元の大軍拡と社会保障削減を表明。維新も「定数削減ができなければ、社会保障改革や副首都構想などの改革はできない」と明言しており、定数削減こそが悪政推進の第一歩なのです。
さらに懸念されるのは、スパイ防止法制定への道です。高市首相は総裁選で「スパイ防止法の制定に着手」を公約し、維新も「結党時から掲げ、今も公約している唯一の政党」として制定を強く推し進めています。スパイ防止法は1985年に自民党が国会に提出しましたが、「国民の目、耳、口をふさぐ悪法」だとして廃案に追い込まれた経歴を持ちます。戦前の治安維持法を彷彿とさせる国民弾圧立法であり、反対意見の少数党が排除された国会では、こうした悪法の成立が容易になります。
議員定数削減→スパイ防止法制定→社会保障改悪→改憲という流れは、自民・維新連立政権による民主主義の段階的な破壊そのものです。
国会内外での共同で法案提出を阻止
田村委員長は最後に、定数削減反対での「一点共同」を国会の中でも外でも構築していく方針を示しました。「今国会で法案を出させないために、議員定数削減反対の一点共同を国会の中でも外でもつくっていく」と明言し、野党各党や市民団体、労働組合といった多様な主体の連携を呼びかけています。
衆議院選挙制度に関する協議会では、すべての会派が参加し、民主的な議論を続けてきました。与党の合意だけで議員定数削減を強行することは、これまでの協議を無視し、民主主義の手続きをも踏みにじるものです。
定数削減の背景には、企業献金問題から目をそらしたい自民党と、「改革政党」としてのアピールを続けたい維新の都合があります。一方で国民が本当に求めているのは、物価高対策、消費税減税、企業献金の全面禁止、社会保障充実です。国会内外の共同の力で法案提出を阻止し、国民本位の政治を実現することが、今国会での最大の課題となっています。